社会新報

【主張】市民検証委が世論調査~柏崎刈羽原発の再稼働は認められない

(社会新報2月15日号3面より)

 

 福島第1原発過酷事故の原因や生活と健康に与えた影響、安全な避難方法が行なわれたのか否かについて専門家から議論してもらうために、新潟県はすでに設置していた技術委員会に加えて、2つの委員会と検証総括委員会を立ち上げた。しかし、2018年に知事が二階派に近いとされる現職に代わったとたん、総括委員会開催を妨害し始め、ついに23年末、総括委員長のクビを事実上切った。これでは県民の命は守れないと考えた池内了前総括委員長や何人かの委員と社民党、平和センター、市民活動家が市民検証委員会を立ち上げた。23年5月~11月にかけて県内11市で市民検証キャラバン集会を実施し、本来行なわれるべきであった検証総括を市民で議論し、行なってきた。
 しかしこの間も、岸田政権の原発積極推進政策に意を強くした東電は、低姿勢を見せつつ、23年12月に規制委員会が運転禁止措置の解除を決めると、再稼働に向けて準備を開始した。その矢先、1月1日に能登半島地震が発生した。これを受けて市民検証委員会は早速、電話による世論調査を民間会社に委託して1月13日に実施した。2万2036件の着信数に対して1345件の回答数であった。その結果、「柏崎刈羽原発の再稼働」について、賛成18・2%、反対60・5%。「県民の意見集約方法」として望ましいとしたのは、県民投票45・5%、県民対象アンケート34・4%、知事選挙9・6%、県議会多数決5・7%。「避難」については、安全に避難できる9・4%、安全に避難などできない70・3%。
 アンケート結果に危機感を覚えたのか、柏崎商工会議所などの地元経済団体が、柏崎刈羽原発の再稼働を求める請願を市議会に提出したことが、2月2日の地元紙で報じられた。議会の過半数を自民党系議員が押えている以上、請願は通るかもしれないが、アンケート結果を自民党系議員は無視できるのか? アンケートの最後の質問は「再稼働に不安を感じるか」であり、不安を感じるが69%、感じないが14・8%であった。こんなにも多くの市民が再稼働に不安なのだ。変圧器が故障して2万リットルもの油漏れを起こした志賀原発は、一つ間違えば過酷事故につながる恐れがあった。福島原発事故もまだ終わっていない。廃炉の展望は見えないし、故郷へ帰れる見通しも立たないままだ。再稼働は絶対に許されない。