(社会新報8月29日号)
岸田政権の3年間とは、いったい何だったのか。
岸田首相が14日、自民党総裁選不出馬を表明。2021年10月から3年間に及んだ岸田内閣は、9月の総裁選後に退陣する。
「低支持率の岸田首相では総選挙は戦えない」との党内の声に押され、政権を投げ出した。
首相は同日の会見で、「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」と語った。「政治とカネ」でけじめをつけられなかった自らの無力さを認め、看板をすげ替えて、総選挙を乗り切ろうとする姿勢をあらわにした。
今年6月に成立した自民党提出の改正政治資金規正法は、先送りと抜け道だらけで金権腐敗を温存した。政党の本支部への企業・団体献金や政治資金パーティーには手を付けず。政党本部から政治家個人に渡されてきた「政策活動費」を規正法に新たに書き込んで合法化し、その領収書などの公開は10年後とした。10年後では選挙買収などの時効を迎える。絵に描いたようなザル法だ。
安倍元首相暗殺事件を契機に自民党政治家らと旧統一教会の根深い癒着が浮き彫りとなったが、「政治と宗教」問題はうやむやなまま。
昨年の国会で原発を最大限活用する「GX脱炭素電源法」を成立させ、原発を60年超えても延長して運転できるようにした。運転期間の延長認可は原発推進官庁の経産省が行なう。東電福島第1原発事故の教訓を忘却し、原発回帰に逆戻り。「地震多発国」日本で再稼働のリスクは計り知れない。柏崎刈羽原発の再稼働などは言語道断である。
また、トマホークなど旧式兵器を爆買いし続けることをバイデン大統領に約束し、財源として安保3文書を閣議決定し、防衛予算をGDP比1%から2%へ倍増し、2027年度までの5年間で43兆円をねん出する。憲法を否定する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を容認した。
退陣表明の1週間前、首相は憲法9条への自衛隊明記の論点を整理する自民党作業部会の新設を指示。
アピールした「聞く力」や「丁寧で寛容な政治」とは真逆に、重要政策の決定で「聞かない・不寛容」の姿勢が目に余る。格差是正を目指した「新しい資本主義」は立ち消えとなった。
結局、岸田政権とは、改憲・大軍拡・原発回帰・裏金温存の3年間だった。
社民党など立憲野党は大同団結し、総選挙で自民党政治を打倒しよう。