社会新報

【主張】自民党と統一教会~石破新総裁は組織的癒着関係の再調査を急げ

(社会新報10月3日号3面より)
 
 
 衝撃的な写真の公開が「カルトと政治」の闇に再び光を当てた。
 9月17日付『朝日新聞』が、安倍晋三元首相が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合。以下、統一教会)の徳野英治会長らと面談していたことを写真付きで報じた。記事によると、自民党が政権復帰した2012年の翌13年の参院選公示4日前の6月30日に、自民党本部の総裁応接室で安倍首相(当時)が徳野統一教会会長や国際勝共連合会長、関連団体の全国祝福家庭総連合会総会長と面談し、統一教会が党比例区候補の北村経夫氏への選挙支援をすることの確認が行なわれたとされる。自民党側からは安倍首相の他に、萩生田光一・総裁特別補佐と安倍首相の実弟・岸信夫元防衛相も同席していた。
 これまで自民党は「党として(統一教会との)組織的な関係はない」と繰り返してきた。しかし、党総裁が党本部の総裁応接室に統一教会のトップを招き入れ、選挙支援を確認したことが明らかになったのだから、「党として組織的な関係はない」との説明は成り立たない。
 22年7月8日、奈良市内で起きた安倍氏銃撃事件の後、自民党は同年9月8日、党所属国会議員と統一教会の関係について点検結果を公表。379人中179人が選挙支援などのつながりを認めた。しかし、この点検はあくまでも自己申告にすぎず、実態とはかけ離れている。
 そもそも自民党と統一教会の癒着の発端は、安倍氏の祖父・岸信介元首相と文鮮明教祖の関係にさかのぼる。統一教会設立が1954年。日本では58年に布教が始まった。68年、統一教会の政治団体「国際勝共連合」が日本で発足。その発起人に岸元首相が名を連ねた。東西冷戦構造下、韓国の朴正煕独裁政権の「共産主義に勝つ」勝共統一運動と軌を一にして、勝共連合と自民党保守派は癒着を深めた。
 80年代からは霊感商法などの反社会的手法で日本人信者から多額の献金を巻き上げ、多くの市民の生活と人権を侵害してきた。全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、被害総額は87年から2021年までに1237億円を超えた。
 今回の総裁選では候補9人全員が統一教会問題の再調査で一様に口を閉ざした。石破茂・新総裁は統一教会との組織的癒着関係について再調査を急ぎ国民に説明しなければならない。
 社民党は「カルトと政治」問題を今後も徹底的に追及していく。