(社会新報10月17日号3面より)
社民党は、「社民党宣言」(2006年の第10回定期大会で採択)で「社会民主主義」を「平和・自由・平等・共生の理念を具体化する不断の改革運動」と位置付けた。しかし、社会民主主義が一般的にはなかなか認知されていない。
社会民主主義を端的に表現すれば、「国民の生きづらさ解消の不断の改革」とも言える。資本主義社会では、本質的に企業等が「より多くのもうけ(富の蓄積)」を目的に生産手段を駆使する存在として成り立つ。それは、さまざまな商品が開発される利点もある一方で、「自由競争」という「自由」の概念も誕生させた。それは「大企業・大金持ちがますます富を蓄積できる弱肉強食」の「自由」であり、何も手を打たなければ「格差と貧困」が極限状態までまん延する。
これに歯止めをかけるのが「労働基準法」や「独占禁止法」などであり、このような「法的歯止め」をつくるのが本来の政治の役割である。
1970年代初期までは、企業は一定の経済活動の中で「富の蓄積」を得られたが、生産物があふれる中で、その後は「コスト削減」を求めてきた。これが86年に導入された「労働者派遣法」であり、弱肉強食を規制してきた法的歯止めが破壊され始めた段階であり、新自由主義経済政策の台頭である。さらに法人税減税の財源ともなる消費税導入、年金など社会保障の切り捨てをはじめ市場の拡大も意図した軍事産業の促進と軍事費増大である。
その結果、厚労省の国民生活基礎調査によると、日本の相対的貧困率は15・4%(年収127万円以下)、シングル世帯では44・5%、子ども貧困率約50%など、危機的現状を生み出した。
今の政治は、一貫して大企業にもうけを蓄積拡大させるための法整備を推進している。さらにそのため、基本的人権と個人の尊重を基本とする憲法も改悪しようとしている。
このような新自由主義経済政策に対抗するためには、「所得の公平分配」「社会保障の充実」などをはじめとした「不断の法的歯止め」が必要であり、これがまさに「社民党宣言」の理念であり、「不断の改革運動」の大きな一つである。
来る衆議院選挙の戦いでは、大企業・大金持ち優先の自民党政治を終わらせるために、社会民主主義の理念を高らかに掲げ、「がんこに平和 くらしが一番」を訴え、前進しよう。