社会新報

【主張】「存立危機事態」首相答弁 ~ 高市首相の存在そのものが日本の存立危機だ

高市政治が動き始めた。10月下旬の所信表明演説に続いて、11月上旬から予算委員会も始まり、高市首相の狙いが次々明らかになっている。ハッキリしているのは、国民生活軽視、対米追随、軍拡路線の強化をひた走ろうとしているということだ。
高市首相の過去の発言や行動、自民党総裁選で掲げた政策などを踏まえれば、その志向はすでに明らかだったとはいえ、自民党が衆参で単独過半数を確保できず、自維連立で急場をしのいでいる現状を考えれば、牙を隠して野党の声に耳を傾けるという選択もありえたはずだ。高市首相は、政治の安定より保守的な主張を鮮明にすることで「岩盤保守層」を固めるという選択を明確にしたのである。
高市首相は11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事について、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当すると答弁した。「戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と明言した。
確かに2015年の安保関連法(戦争法)では、日本への直接攻撃がなくとも自衛隊の武力行使を行なう集団的自衛権が一部容認された。野党や市民が憲法違反だと厳しく批判したものの、成立を許してしまったのは誠に残念であった。
しかし安保法制によっても、集団的自衛権が無限定に容認されたわけではない。「日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険がある事態」に「他に適当な手段」がない際などに限って、厳格に運用しなければならないことは、法文にも明記されている。
自衛隊の積極活用は高市首相の持論だったのだろうが、現職の首相が安易に口にすることは軽率のそしりを逃れない。歴代政権は、台湾有事については「個別の状況に応じて総合判断する」として直接関連付けることは避けてきた。手の内を明かすことは武力行使のハードルを下げることになりかねないからだ。しかし予算委員会の質疑でも、高市首相は、以後「特定のケースを明言することは慎む」と述べるのみで、発言の撤回には応じなかった。
所信表明演説でも、防衛費増の前倒し、「国家情報局」創設や「スパイ防止法」の制定、武器輸出ルールの緩和など、タカ派政策がてんこ盛り。あえて緊張を高めようとしているとしか見えない。高市首相の存在そのものが、日本の存立危機となりかねない。