日本を「死の商人国家」にしてよいのか。
自民党と日本維新の会は3月6日、武器輸出規制の緩和に関する提言を高市首相に提出した。提言の柱は、「救出、輸送、警戒、監視、掃海」の「5類型」に限り武器輸出を認めてきた現行ルールを撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を原則的に解禁する内容だ。政府は提言を受けて4月にも武器輸出の指針を改定する構えだ。
提言は装備品を殺傷力の有無により「武器」と「非武器」に分類し、「武器」の輸出は「防衛装備品・技術移転協定」を結ぶ国に限定するとしている。現在、協定を結んだ国は米国や豪州、インド、フィリピンなど17ヵ国。その中に隣国との紛争を抱えるインドやアラブ首長国連邦(UAE)なども含まれる。紛争当事国への武器輸出は「原則不可」とする一方、安保上の「特段の事情がある場合」は例外とする。「特段の事情」という概念は曖昧であり、恣意(しい)的な判断となりかねない。武器輸出案件の可否は国家安全保障会議(NSC)が判断する。NSCの議論内容は完全非公開であり、閣議決定や国会承認を要件としない。そのため密室での恣意的な運用になりかねない。厳格なチェック機能が必要不可欠だ。
紛争を助長させる殺傷能力のある武器輸出の解禁は、「死の商人国家」へ変質させるものであり、断じて許されるものではない。
もともと、1967年と76年の政府統一見解で表明された「武器輸出三原則」は、武器輸出を慎む全面禁輸政策であった。だが2014年に安倍政権が「防衛装備移転三原則」を閣議決定して「武器輸出三原則」を骨抜きにし、輸出相手国の適正管理などを条件に武器輸出を容認した。今回の提言は、殺傷兵器の際限なき輸出拡大につながりかねない危うい内容である。
トランプ米政権が国際法を無視してイランへの攻撃を強行する中で、米国と同盟関係にある日本が殺傷武器輸出の方針に変更すれば、世界から大変な脅威と受け取られる。ロシアに侵攻されたウクライナに対して、日本はこれまで防弾チョッキなど「非武器」を提供してきた。提言では日本はウクライナに殺傷武器の輸出が可能となる。国際紛争を助長する武器輸出を認めないために社民党は国会で徹底追及する決意だ。