社会新報

【主張】「国旗損壊罪法案」 ~ 表現の自由への侵害を許さない

1999年小渕政権の時に、「国旗・国歌法」が作られた。それまでは「日の丸」「君が代」は法的に「国旗」「国歌」として規定されていなかった。それは、日本が第2次世界大戦で敗北した後、アジア・太平洋諸国への侵略戦争のシンボルであった「日の丸」「君が代」をドイツのようには変更しなかったことが、後ろめたさとして歴代自民党政権の胸のうちにあったことの証左ではなかったか。
しかし、法律に規定しなかったとはいえ、実際には文部(当時)省は自民党と連携し、学習指導要領を根拠に学校現場に「日の丸・君が代」を強烈に押しつけてきたのが歴史的事実だ。入学・卒業式時には、体育館などの壇上に「日の丸」を掲げることと、「君が代」を歌うことを、県教育委員会・市町村教育委員会・学校長を通じて教職員に事実上、強制し続けてきた。
戦後、侵略戦争への反省と、その侵略戦争に教え子を多数送ってきたことを深く悔いた教職員は、日教組に結集し、「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに、「日の丸・君が代」の国家権力による強制に強く抵抗してきた。具体的には、壇上に「日の丸」を掲げることへの業務拒否や「君が代」を歌うことを拒否した。
この当然の抵抗に対し、文部省は「戒告」などの懲戒処分を断行し、さらには昇給延伸という行政処分を二重処罰的に行なった。それでもこの過酷な処分に対し、教職員は人事委員会への提訴や、場合によっては裁判にも訴えて闘った。具体的な抵抗としては、「君が代」斉唱時に「立つが歌わない」というものが、最終戦術として行なわれた。
しかし、99年の国旗・国歌法制定、それに続く2008年の「指導要領改訂による『日の丸・君が代』の文言上の強制」により、日教組などに結集していた教職員の組織的抵抗闘争は鳴りを潜めることとなった。
このように、侵略戦争の反省が不十分なまま、「日の丸・君が代」を30年以上も教職員に押しつけてきた自民党が、学校現場を制圧したという認識のもと、遂に「国旗損壊罪」法案を国会に提出しようとしている。内容は、刑法の一部を改正し、「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」というものだ。表現の自由の侵害を、処罰をもって強行しようとする法案は何としても廃案にしよう。