(社会新報12月21日号3面より)
一体この政党はいつまで「政治とカネ」の問題を起こし続けるのだろうか。
自民党の複数の派閥にて、販売ノルマを超えた分の政治資金パーティーのパーティー券売上について政治資金収支報告書に収支を記載せず、売り上げた議員へ還流していた疑惑が発覚した。とりわけ、最大派閥である「清和政策研究会」(安倍派)が直近5年間で派閥議員へ還流した裏金の合計が約5億円に上るとの報道も出ている。政治資金収支報告書へ収支報告が不記載の場合、政治資金規正法違反や脱税の恐れがある。東京地検特捜部は、臨時国会閉会後から捜査を本格化するとのことだ。陳腐な表現だが、政界の闇を暴いていただきたい。
裏金を還流していた疑惑がある議員は複数に上り、特に安倍派は大半の議員に疑惑を持たれている。その中には松野博一官房長官、高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長、西村康稔経産相など、閣僚や党役員の名前も上がっている。
とりわけ松野官房長官は、岸田政権のナンバー2であり、政府の情報を発信するスポークスマンだ。
その松野官房長官に、政治資金収支報告書での虚偽報告の疑惑が浮上している。このような閣僚が発信する情報を信じられるのか。国内の政治不信が高まるだけでなく、国際的にも信用を失いかねない。疑いを持たれた時点で松野官房長官には全容を誠実に説明する責任がある。しかしながら、衆参予算委員会では、委員からの質問に対して「お答えを差し控える」の答弁を繰り返すだけだった。定例記者会見では、記者からの質問に対しても「お答えを差し控える」を連発。あまりにも不誠実であり、もはや官房長官の職に全くふさわしくない。
岸田首相は14日、松野官房長官を含む安倍派の4閣僚と5副大臣を交代させた。疑惑が報じられてから2週間近くも経過してからの更迭で、遅きに失したと言わざるを得ない。岸田首相は任命権者としての責任だけでなく、臨時国会の終盤を機能不全にさせた責任も重たい。
今年9月に発足した第2次岸田再改造内閣は、来年の自民党総裁選で岸田総裁が再選をにらんだもので、派閥に目配せした内閣改造であった。今回、その派閥を原因とした問題で、岸田首相の足をすくわれるとは皮肉なものだ。安倍派と共に岸田政権の崩壊も近いだろう。