社会新報

【主張】臨時国会開会~最大焦点は自民党と統一教会の癒着問題

(社会新報10月12日号3面より)

 

 10月3日から第210回臨時国会が始まった。会期は12月10日までの69日間の予定だ。去る6月15日に通常国会が閉会になって以降、3ヵ月半に渡って国会が開かれなかった。その間、コロナ第7波、急激な円安と度重なる物価高、電気代・ガス代などエネルギーの高騰、安倍元首相の「国葬」、政治と旧統一教会との癒着など、国会を早急に開いて議論すべき課題は山ほどあったが、岸田政権はそれを避け続けてきた。通常、会期の幅や提出する法案について、開会の1週間前には与党の国会対策委員長から野党に説明があるのが慣例だが、それすら提示されなかった。臨時国会に臨む岸田政権の姿勢がそこから見えてくるようだ。
 同日、岸田首相の所信表明演説を聞いた福島みずほ党首は記者会見を開き、「所信表明演説なのに所信がない」「どういう世界観でやっていくのかが見えてこない」「各役所が出してきた政策の羅列にすぎない」と痛烈に批判した。また、旧統一教会との関係に関する部分に関しては「非常にひとごと」に感じたと語り、「『厳しい意見を聞く姿勢にこそ、政治家岸田文雄の原点がある』と言うが、聞く力も、聞くつもりもないことが『国葬』で明らかになった」と厳しく指摘した。
 岸田首相は所信表明演説の中で、日本の経済再生が最優先課題だと位置付け、「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」を掲げた。10月からまたも6500品目の値上げが行なわれ、原料高を理由にガス会社大手3社が11月から値上げをする。10月から最低賃金が31円上がり、全国平均961円になったが、この物価高では、労働者・事業者双方にとって焼け石に水だ。人々の困窮は待った無しだ。アベノミクスによる異次元金融緩和が円安を招き、大企業優遇政策が賃上げを妨げ、非正規労働を拡大したことの反省なしに、経済再生はあり得ない。
 外交・安全保障分野では、5年以内に防衛力を抜本的に強化することを掲げ、「反撃能力」も含め選択肢を排除せず検討すると踏み込んでいる。辺野古新基地建設も進めると明言し、沖縄の民意を尊重しない安倍・菅政権を継承する姿勢だ。
 今臨時国会では、自民党と旧統一教会との癒着が最大の焦点になることは間違いない。岸田政権はそれを回避するため、徹底したやり過ごし作戦に出てくる恐れがある。それを許さない国会論戦が求められる。