社会新報

市民団体が安倍元首相「国葬」の差し止めを求め提訴

 

↑横断幕を持つ市民団体「岸田政権による安倍元首相の国葬強行を許さない実行委員会」。中央が藤田高景代表。
 
(社会新報8月24日号より)
 

 安倍晋三元首相の「国葬」に反対する学者や法律家、市民らでつくる市民団体が8月9日、「国葬」の差し止めを求める裁判を東京地裁に提訴した。

 提訴したのは「岸田政権による安倍元首相の国葬強行を許さない実行委員会」(藤田高景代表)で、原告は231人。提訴以降も原告の申し出が増え続けており、第2次の訴訟も準備している。

 藤田代表は提訴後の記者会見で、国葬について、「日本国憲法の精神を踏みにじり、何ら法的根拠もなしに国民の血税をつぎ込む違法行為だと断じなければならない」と厳しく批判した。

 会見に同席した大口昭彦弁護団長は、訴訟が行政事件訴訟法第37条の4に基づく差し止め訴訟であること、そして「国葬」への予算執行の差し止めも求めることなどを説明した。

 また、一瀬敬一郎弁護士は安倍元首相について、「2013年の靖国神社公式参拝によってアジア諸国の民衆の感情を逆なでし、日本が国際的信用を失った」と厳しく批判し、「国葬」はあり得ないと強調した。

 経済評論家の植草一秀さんは「国葬」に関して、法的根拠がないこと、弔意を強制するもので憲法19条の思想・良心の自由を侵害すること、誰を「国葬」にするのかの選択が恣意(しい)的であり、憲法14条の法の下の平等に反するなどと指摘した。

 前田朗・東京造形大学名誉教授は、自民党と旧統一教会の癒着問題にも言及し、「自民党は統一教会自民党支部に名称を変更すべきではないのか」と批判。国葬に反対する姿勢をあらためて強調した。

 

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