社会新報

社民党第20回定期全国大会 福島みずほ党首あいさつ全文 

大会であいさつする福島党首。(2月23日、東京・永田町)

 

 第20回党大会に当たり党首として、全国でがんばっている皆さんに心から挨拶をいたします。また、本日、大変お忙しい中、来賓として来てくださった4人の方々に心から御礼を申し上げます。立憲民主党からは、西村ちなみ代表代行、日本共産党からは、田村智子委員長が来られ、女性が3人並ぶことも大変嬉しく思っています。

 

1.まず、能登半島地震の被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。そして、石川県連をはじめ北陸の社民党の皆さんたちが、大変な中、被災者支援のために粉骨砕身がんばってくださっていることに心から感謝を申し上げます。全国連合は、直ちに能登半島地震対策本部を立ち上げ、社民党石川県連の対策本部と連携をしながらやってきました。社民党が全国組織で、自治体議員と党員がいて、連携しながら力を合わせることができることで力を発揮することができると改めて思いました。

 私自身、石川県の社民党の自治体議員と一緒に、七尾、内灘、羽咋を視察し、2月19日は、珠洲と輪島を視察しました。多くの家屋が損壊し、道路は破壊をされ、輪島の朝市の火災現場や珠洲、輪島の隆起した海岸などは心をえぐられるような被害でした。水道がまだ通っていない、下水道の復旧に時間がかかる、家屋の倒壊に手がなかなか付けられない状況の中で、今こそ被災者支援が必要だと痛感しています。全国連合として被災者支援に全力で取り組んでいきます。

 珠洲市を訪れたときに、あまりの被害を眼にし、珠洲原発建設を阻止した地元の人たち、社会党の人たちの頑張りに心から感謝をしました。みんなを救ってくれたのです。社民党は、社会党時代から原発建設が問題になった時から、全国各地で反原発運動を全力で取り組んできました。その長年の運動を誇りに思います。その頑張りの延長線上で、脱原発を全国各地でさらに強力に進めていこうではありませんか。

 原発を廃炉にしていくための努力をしていこうではありませんか。

 

2.今回の大会は衆議院選挙に勝利するため、全党員で思いと意義を共有し、各ブロックで1議席以上獲得をするための大会です。各ブロックで本当に頑張っていただき、5議席の獲得を実現していきましょう。5議席はハードルが高いと思われるかもしれません。しかし、全てのブロックでどうしたら社民党の議員を最低1名以上誕生させることができるか知恵を絞り、運動をし、力を合わせていただきたいのです。がんばって候補者を立て、現在予定候補者ががんばっています。本当にありがとうございます。まだ候補者は足りないです。ここは歯をくいしばって候補者擁立をして下さるよう心からお願いします。2025年7月に参議院議員選挙があります。ここで複数名当選させることができるようホップ、ステップ、ジャンプで勢いをつけていきましょう。

 そして、この党大会が、社民党の意義、役割を確認するものとなり、社民党は、金権腐敗政治追放、自民党政治打倒、政権交代実現の全国的な草の根の運動の先頭に立っていく心合わせの大会になるようにと思います。

 

3.今、国会は、自民党の政治と金の問題で大揺れです。自民党は経団連から年に23億円献金を受けています。そして、政治資金パーティーを行い巨額のお金を集めてきました。形を変えた企業献金です。しかも裏金にし、政治資金規正法上記載されない金であり、収入にもしていません。どう集めてどう使ってきたのか、全容解明が必要です。まず裏金をもらった議員は政治倫理審査会で全員説明をすべきです。

 社民党は、企業団体献金を廃止するべく全力をあげます。また、政治資金パーティーを規制します。

 国民は、去年10月からインボイス制度で1000万円以下の事業者も消費税を納税しなければならなくなりました。国民からは、幅広くきめ細かく、税金を徴収しながら、自民党は巨額の裏金を作り、私腹を肥やすとは一体どういうことなのでしょうか。

 そして、裏金問題は、自民党が誰に向かって政治をやっているのかということを明らかにしました。円安、物価高、実質賃金が上がらない中で、生活が苦しいという国民の思いと全く切れたところで、自民党は政治を行っています。

 自民党は、自分たちのスポンサーである大企業のために政治をやってきました。法人税を下げ、消費税をあげ、民営化を進め、労働法制の規制緩和をし、社会保障を切り捨て、原発と軍需産業を応援してきました。新自由主義の下で、雇用は壊れ、格差と貧困は拡大をしてきました。失われた30年。こんな政治は変えようではありませんか。命と暮らしを踏みにじる政治では国民に未来はありません。新自由主義から社会民主主義へ。社会民主主義を標榜する社民党の出番です。

 

4.政府自民党は、秘密保護法、安保関連法・戦争法、共謀罪、重要土地規制法を成立させ、安保三文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力を保有し、防衛予算を5年間で43兆円にすることを決めました。

 今国会に、2月末には、秘密保護法大改悪法案である重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案が提出されると言われています。

 今までの秘密保護法の秘密を経済安全保障に関する情報まで広げ、今まで主に公務員が対象であった秘密を扱えるかどうかの「適性評価」を大幅に民間人に拡大をするものです。社会の中で「秘密」のブラックボックスがどんどん拡大をしていきます。国民の知る権利やプライバシー権が侵害される恐れが飛躍的に拡大をします。

 そして、問題なのは、この適性評価は、原則として内閣総理大臣が行うとされていることです。内閣総理大臣の下に設けられた機関が、行政機関や民間の人たちを調査して、情報を集積していきます。企業秘密を吸い上げる危険性もあり、企業の国家統制ともなりかねません。これは新たな情報収集機関、監視機関とならないか。秘密保護法改悪法案を何としても阻止しなければなりません。

 

5.沖縄・南西諸島で自衛隊基地とミサイル攻撃計画が進んでいます。集団的自衛権の行使で敵基地攻撃をすれば、相手国からは先制攻撃とみなされ、日本全土が戦火に見舞われる可能性があります。戦争の準備ではなく平和の構築こそ必要です。戦争を止めましょう。

 戦争のための教育、戦争のための研究、戦争のための大学、戦争のための産業。昨年、国会では防衛予算確保法と軍需産業強化法が成立をしてしまいました。経営的に困難な軍需工場を国有化できると言うものです。国有化すべきは軍需工場ではありません。それなら、過疎地の公立病院をこそ応援すべきではないでしょうか。岸田首相は、施政方針演説の中で、日米同盟は公共財だと言いました。公共財とは、水道、山、川、海、医療、介護、教育、農業、地域交通などみんなの命を支えるみんなのものをいうのであり、軍事同盟が公共財にはなり得ません。命を大事にするために何を大事にするかが根本的に間違っているのではないでしょうか。軍拡ではなく、生活であり、がんこに平和、平和が一番です。

 社民党は、1月18日から20日まで10年ぶりに社民党訪中団として、中国を訪問しました。日本の国民と中国の国民は、絶対に戦争をしてはなりません。その社民党の決意と思いを伝えるために訪問しました。戦争ではなく平和外交というのをまさに実践をするためです。王常務員、劉中連部部長をはじめ様々な方たちと意見を交換しました。

 平和の構築のためには様々な形での意見交換、対話が必要であり、有益であることを実感しました。また、社会党、社民党を通じ、諸先輩の国会議員、村山富市さんや土井たか子さんをはじめとして多くの人々の平和のための行動が信頼を醸成していることも感じました。

 戦争は何物も生みません。たくさんの人の命と人生を根こそぎ奪う最大の人権侵害です。

 戦争を止めたいのです。戦争へ向かう、戦争の準備をする政治を今こそ変えなければなりません。その先頭に社民党が立っていこうではありませんか。

 

6.私の大好きな言葉に平和と平等は手を携えてやってくるという言葉があります。反対の言葉は、戦争と差別排外主義が手を携えてやってくるです。あらゆる差別をなくし、ジェンダー平等の社会を実現していきましょう。

 包括的差別禁止法と国内人権救済機関は、人権保障のための必要な車の両輪です。成立のために力を尽くしていきます。

 

7.社民党は必要な政党です。

 社会民主主義、平和、人権を保障することをめざす必要な大事な政党です。

 まず、第1に、金権腐敗政治追放、自民党政治打倒、政権交代実現の地べたからの運動の先頭に立っていきましょう。

 第2に、国会議員、自治体議員、党員、サポーターの拡大です。衆議院選挙と参議院選挙に勝利し、国会議員を増やし、社民党の活動をもっと可視化していきましょう。2027年の統一自治体選挙はもちろんのことこれから行われる中間選挙にできるだけ候補者を立て、社民党の自治体議員を増やしていかなければなりません。都道府県ごとに厳しくても候補者を立てていく計画と実践を心からお願いします。

 党員とサポーターを積極的に勧誘し、社会新報と月刊社会民主を様々な集会などで紹介し、購読あるいは買ってもらうことをこまめにやっていきましょう。ぜひ各ブロックで、あるいは都道府県連で、政治スクールなどを開催し、候補者の発掘、仲間作りをお願いします。

 第3に、若者やミドル世代、女性への働きかけです。政治スクールや意見交換会、インターネットを通じた交流を全国連合、各地でやっていきましょう。雇用や子育て、教育、人権、ジェンダー平等など、若者や女性などが抱える問題や関心があるテーマをともに議論し、仲間作りをしていき、支持を広げていくことが必要です。サポーター会議をリアルでとインターネットの両方でやってきましたが、リアルで行うおしゃべり会のようなものを各地でさらに様々な形で取り組んでいきましょう。

 第4に、社民党の一人ひとりが力を発揮し、そして、力を合わせるための工夫です。党員のネットワーク、各都道府県連合のネットワーク、自治体議員のネットワークを強化し、社民党基地問題連絡協議会や社民党脱原発・脱プルトニウム協議会の活性化をはかっていきます。全国連合の常任幹事会と地方、自治体議員、党員との意思疎通をもっと密接に行い、一体として動くことができるように工夫をします。

 私は今回常任幹事会に、自治体議員団、ブロック事務局長から1名ずつ入ってもらうことも考えましたが時間の制約もあり間に合いませんでした。地方、自治体議員、党員の声をもっと全国連合に反映し、みんなが気持ちを合わせて一体として動くことができるように今後皆さんと相談し、工夫をしていきます。

 

8.政治は希望です。政治を必要としている人たちがいて、政治は人を応援するものです。

 全国各地で、非自民の首長が誕生し、地べたからの民主主義が政策を変えていっています。

 地べたからの民主主義を信じて、多くの人と力を合わせていきましょう。社会民主主義は、「社会」と「民主主義」の両方に大変意味があるものです。希望を作っていきましょう。

 戦争ではなく平和、平和で安心できる社会、人々が主人公である社会を作るべきまさに今歴史の転換点に立っています。

 社民党、躍進していこうではありませんか。共にがんばりましょう。

 

2024年2月23日

社会民主党 党首 福島みずほ