社会新報

統一教会による言論妨害スラップ訴訟の一審判決が来週の3月12日(火)15時30分、東京地裁103号法廷で言い渡される

(左から)有田芳生さん、青木理さん、鈴木エイトさんによる鼎談が昨年の裁判結審の日に行なわれた。

(左から)有田芳生さん、青木理さん、鈴木エイトさんによる鼎談が昨年の裁判結審の日に行なわれた。

 

(社会新報2月29日号3面より)

 

 元参議院議員でジャーナリストの有田芳生さんがテレビ番組で発言した内容で名誉を毀損(きそん)されたとして、統一教会(世界平和統一家庭連合)が有田さんと日本テレビに対して計2200万円の損害賠償などを求めたスラップ訴訟(どう喝訴訟)の東京地裁判決が、いよいよ来週の3月12日(火)15時30分、地裁103号法廷で言い渡される。

裁判は、有田さんが2022年8月19日の日本テレビ番組『スッキリ』で、統一教会について「反社会的集団だってのは警察庁ももう認めている」と発言したことに対して、統一教会側は「反社会的集団」との表現が教団の名誉毀損に当たるとして、有田さんと日本テレビの両者の連帯で賠償などを求めた。有田さん側はこの裁判が言論妨害を目的としたスラップ訴訟と位置付け、教団の「反社会性」を立証する膨大な資料を証拠として法廷に提出し、口頭弁論に臨んできた。

 

「空白の30年」語る

 昨年11月28日、東京地裁で統一教会による言論妨害スラップ裁判が結審し、裁判終了後に法曹会館で結審報告集会が開かれた。阿部克臣弁護士が、昨年10月に政府が統一教会に対して解散命令請求を行なった裁判について、「解散命令判決は時間の問題で必ず下されると確信している。有田裁判は、解散命令事件の前哨戦だ」と位置付けた。

続いて有田芳生、青木理、鈴木エイトのジャーナリスト3人による鼎談が行なわれた。30年前に警視庁が統一教会を摘発しかけたものの、「政治の力」で摘発を見送った、「空白の30年」に話が及んだ。

 

「オウムの次に統一教会を摘発」

 有田さんはこう語った。「私は1994年、警察庁最高幹部と警視庁幹部から統一教会に関するレクチャーを求められた。1時間ほど、教団の歴史や霊感商法、朝日新聞襲撃の赤報隊事件に関する疑惑などについて説明した。その後、幹部は私に『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と語った。それから10年後、私は警視庁幹部と久しぶりに会った。その幹部は統一教会を摘発できなかった理由について『政治の力だよ』と一言だけ口にした」

 この指摘は青木理さんの話とも符合した。青木さんはこう振り返った。「94年末、警視庁クラブ担当の共同通信記者を務めていた私は、警視庁公安部が統一教会をかなり真剣に調べ始めたとの情報をキャッチした。非常に驚いた。というのは、公安警察が宗教団体に『触る』ことは、思想・信条の自由の問題もあり、まさにタブーだった。重大事件の地獄のふたがもしかしたら開くのではないかと緊張した。翌95年に阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件で大混乱。同年末頃、警視庁公安部の最高幹部に聞くと、『(摘発は)やめることになった』と言った。なぜかと質すと、『政治の意向だ』と語った。もし捜査に踏み込んでいれば、被害者がここまで拡大することはなかった」

 鈴木エイトさんは「空白の30年」と2世問題について「95年に警視庁がもし摘発を始めていたら、2世問題もここまで深刻にはなっていない。当時、きちんとした歯止めをかけられなかったことは猛省すべきだ」と語った。