社会新報

生存のための政権交代を-総選挙勝利集会で社民党躍進を誓う-

(社会新報2021年8月4日号1面より)

 

社民党は7月24日、オンラインで「市民と立憲野党の共闘で菅政権を倒そう!社民党総選挙勝利集会」を開催した。衆院選予定候補12人と都道府県連の代表ら440人が参加。命と暮らしを軽んじる菅政権を倒して生存のための政権交代を実現することと、社民党の躍進を誓い合った。候補擁立目標数を15人からさらに引き上げ、「攻めの戦い」に転じることも確認した。

 

 

福島みずほ党首は集会のあいさつで、菅政権の3つの問題点を挙げた。

第1に、コロナ禍の中で命と暮らしを守る政策に背を向けてきたこと。「菅政権はコロナ感染を拡大する五輪を強行した。五輪は開幕したが、社民党は中止を強く求める。(子どもたちを集団で観戦に連れていく)学校連携観戦プログラムの完全な中止を求める」と訴えた。

第2に、新自由主義政策が止まらないこと。「この間、多くの病床が削減されてきた。195億円の消費税を使って病床削減を促進する医療法改悪が強行された。医療インフラを切り捨てる新自由主義が止まらない。だからこそ社会民主主義政策を掲げる社民党の躍進が必要だ」と強調した。

第3に、ひどい悪法が次々に成立したこと。「重要土地調査規制法は基地反対運動や脱原発の運動の弾圧につながる。菅政権はまさに監視と排除と弾圧の政権だ。社民党は先日、馬毛島を訪問した。南西諸島での自衛隊基地の建設に反対する。答えは現場にある。現場に行き、現場から政策を作る。平和の問題でブレない社民党は本当に必要だ」と訴えた。

このように菅政権の問題点を指摘し上で、「生存のための政権交代を実現していきたい」と決意を表明した。

↑あいさつする福島党首。

 

服部選対委員長
党の存在感示す攻めの戦い 擁立目標数さらに引き上げ

服部良一幹事長兼選対委員長は集会の最後に、総選挙をめぐる情勢と課題について問題提起を行なった。

まず、菅政権の五輪開催強行に関し、「世界から批判が集まる中で、五輪を運営する組織委員会の人権意識の低さを世界に証明してしまった。本当に情けない。祭典そのものの商業主義、利権を根本的に問い直さなければならない。平和の祭典とは程遠いものとなった」と厳しく指摘した。

その上で、菅内閣支持率が30%割れに急落したことを踏まえて、「市民の間では『政治とは何だろう』という疑問を肌身で感じている時代状況がある。だからこそ、われわれ社民党は社会民主主義の政策に自信を持ち、迷い、困っている市民たちの受け皿となってさらに飛躍しなければならない」と奮起を促した。

服部選対委員長は同日、「総選挙をめぐる情勢と課題について」と題する文書を公表し、この中で、社民党の存在感を示すため「攻めの選挙」にすることを訴え、「伝統的に社民党が候補者を立ててきた選挙区において、擁立ができていないのは残念だ。今は野党共闘の時代。選挙区を明け渡すと再び戻すのはなかなか難しい。そのためにも、もう一歩努力して、選挙区での擁立を進めていく必要があるのではないか。候補者の擁立目標を20人とし、九州をはじめ、さらに選挙区での擁立の検討を提案する。何としても沖縄2区・九州比例1を獲得しなければならない。そして全国のどこかで選挙区での勝利、またはブロック比例1をこじ開けたい。獲得目標は、得票率2%・4議席である」と強調した。

 

来賓あいさつ
三浦まりさん(上智大学教授)

■男女参画政策の先駆け

福島党首がフランス政府から国家功労勲章を受章し、同じ時期に私も受賞したことをうれしく思う。社民党はいち早く党則でクオーター制を導入した。日本はジェンダーギャップ指数が世界120位と人権意識の低さを表している。五輪の組織委員会も人権意識の欠落を露呈している。女性差別、マイノリティ差別などが残念ながら日常の風景になってしまった。その一因には政権交代の不在がある。先進国では日本だけだ。

コロナ禍での五輪強行で、かつてなく不満が高まり、学生たちもここまで政権批判を強めたことはない。彼らの支持する政策だけ見るとリベラル・社民主義だが、自民党が改革派と思われ、社民党は保守派と誤解されている。ジェンダー平等の老舗の社民党は学生たちに知られていない。社民党の発展を応援する。

 

佐高信さん(評論家)

■非正規社会から脱却を

32歳で急逝した歌人の萩原慎一郎が、「非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ」と歌った。さらに萩原は「箱詰め社会の底で潰された蜜柑(みかん)のごとき若者がいる」とも歌った。これは若者の悲痛な叫びだ。この叫びを政党や労働組合がしっかりと受け止めなければ、政党にも労組にも未来はない。非正規が当たり前になったこの社会は異常だ。社民党はこの「非正規社会」に対してまともに向き合い、きちんと光を与えていかなければならない。

安倍、菅両首相は公邸に住まない。公が嫌いなのだ。首相たるべきでない者が首相になっている。こう言うと反対ばかりしていると批判されるが、それは違う。われわれにとって反対や批判は仕事だ。全然ひるむ必要はない。とんでもない政権に対しては反対し抜くことがわれわれの役目だ。

 

菱山南帆子さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局次長)

■大躍進を期待する

五輪が強行開催されたが、今からでも中止の声を上げていくべきだ。組織委員会の女性蔑視やいじめ問題など、腐敗ぶりが次から次へと明らかになり、末路のようだ。日本は戦後、高度成長はしたが心の成長はできていない。政府は辺野古新基地建設で、遺骨の眠る山の土を埋め立てようとしている。沖縄の人は沖縄戦を忘れないよう次世代に継承しているが、本土はどうか。「尊い犠牲、過ちを繰り返さない」と言葉では言うが、実践こそが心の成長をもたらす。今度の政治決戦は、「命と暮らし人権を守る政治」か「命と暮らし人権を軽んじる政治」かの対決だ。市民と野党の前進を期待する。そのためにも社民党の不屈の頑張りと大躍進が不可欠。社民党のポスター「弱音のはける社会」「答えは現場にある」に共感する。

 

福山真却さん(市民連合事務局)

■社民党が最も近い

市民連合が2015年に発足してから5年半が経った。この間、市民連合は、市民と野党の共闘で政権交代を求めて全県と200の選挙区で結成されている。次の衆院選は正念場だ。

社民党は、輝かしい伝統を踏まえて新生社民党として再生を目指して奮闘している。私たちの目指す理念と目標が平和と社会民主主義の実現だとするならば、社民党が最も近い方針を掲げている。

国民の野党共闘への期待は大きい。ボロボロとなった菅政権は、延命するために野党を分断するさまざまな攻撃を仕掛けてくる。社民、立憲、共産、国民、れいわ、沖縄の風、碧水会(へきすいかい)の5党2会派を中心に、反自公政権の総結集をつくり上げたい。

 

渡邉洋さん(全労協議長)

■小さな声を国政に

全労協はナショナルセンターではなくて、あくまで共闘組織であるので、個別の政党・候補者との支持協力関係は歴史的に全労協として判断せず、個々の加盟単組の判断に任せられている。その上で、社民党が前回参院選に続いて全労協傘下の合同労組で中小企

業労働者や非正規労働者のために奮闘した候補を送り出すことに賛意を表したい。

労組出身議員の多くが大企業や官公労の大きな労組の出身であり、長時間労働・低賃金・不安定雇用に苦しむ非正規労働者やフリーランスの声を国政に直接届ける道筋が十分ではない。その道筋を大きく切り開くことが極めて大きな意味を持っている。小さな声を国政に届けるツールとして社民党がさらに奮闘されることを切望する。

 

 

↑執行部らが団結がんばろうを三唱した。

 

 

 

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