社会新報

初の「トランスジェンダー国会」~ 当事者が生きづらさを国会議員に訴え

トランスジェンダー国会(10月12日、参院議員会館)。

 

(社会新報10月26日号3面より)

 

 トランスジェンダーの可視化とそれを取り巻く問題について認知を広げることを目的とする初の院内集会「トランスジェンダー国会」が12日、参院議員会館で開催され、自民・公明を含む与野党の国会議員約20人を含む140人超が参加した。主催はTransgender Japan、協力はヒューマンライツウォッチ、LGBT法連合会ほか。

 登壇者はLGBT法連合会の五十嵐ゆりさん、ヒューマンライツウオッチの土井香苗さん、静岡大学教授(公法学)の笹沼弘志さん、浜松TG研究会の鈴木げんさん、WPATHの東優子さん、青山学院大学教授(言語学)のエリンマクレディさん、トランスジェンダー生徒と交流会を主宰する土肥いつきさん、GID学会理事長で医師の中塚幹也さん、GID特例法を変えよう! 実行委員会の杉山文野さん、Transgender Japanの浅沼智也、畑野とまと両共同代表。
 日本での性別変更については現在、「性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、GID特例法)に定めがある。しかし今年、WHO発行の疾病分類マニュアルの最新版であるICD11が施行されたされたことにより、性同一性障害が付随する性転換症(トランスセクシュアリズム)や服装倒錯症(トランスヴェスティズム)とともに脱病理化され、医学用語から完全に削除された。
 トランスジェンダー国会では、国際的な変化を踏まえて、GID特例法が定める性別変更に関する5要件のうち生殖機能の喪失および性器の成形を課す、いわゆる手術要件に関して撤廃を求める声が上がった。また、ホルモン療法が保険適用外であるために混合診療を受ける多くの当事者が重い経済的負担を負わざるを得ない現状に鑑み、高いパス度(身体的なトランスの度合い)を求める当事者に対する経済的・精神的負担の軽減を求める声もあった。
 社民党からは福島みずほ党首、新垣邦男・大椿ゆうこ両副党首が参加。党首は「性自認が大事にされる社会をつくろう」、新垣副党首は「ぜひ皆さんから学ばせていただきたい」と、連帯あいさつを行なった。