社会新報

ウィシュマさんの死因解明を-偲ぶ会に500人 遺族と弁護団が訴え-

(社会新報2021年6月9日号2面より)

 

出入国管理法改正法案が今国会で廃案となったが、その廃案の原動力となったのが、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の死因の真相究明を求める多くの人々の声だった。

ウィシュマさんは来日後、夫から家庭内暴力を受け帰国できず、昨年8月に名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていた。今年1月から体調不良を訴えていたが、容体が悪化し、3月に亡くなった。入管が適切な治療をしていなかった疑いが持たれている。

そのウィシュマさんを偲(しの)ぶ会が5月29日、東京・中央区の築地本願寺で執り行なわれ、社民党の福島みずほ党首を含む約500人が参列した。

遺族を代表して、来日中のウィシュマさんの妹ワヨミ・ニサンサラさん(28歳)があいさつし、涙声で訴えた。「母は私に『どうしてウィシュマが亡くなったの? 日本政府がどうして答えてくれないの?』と聞きますが、私には答えられません。姉がどのように亡くなったのか、真実が分かるように、皆さん、助けてください」。

ワヨミさんらは死亡の経緯を明らかにするため、政府に対して最終報告書の公表と収容施設内の監視カメラ映像の開示を求めている。

偲ぶ会の最後に、遺族の弁護団を代表して指宿昭一弁護士が「ウィシュマさんの死を決して無駄にしてはならない。入管に命を奪われたと言ってもいいと思う。これを止められなかったことに、私は日本人の一人として責任を感じる。必ず真相を解明することを誓う」と決意を述べた。

 

 

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