社会民主党幹事長
服部良一
- 本日、参議院本会議で、75歳以上の高齢者を対象に病院などの窓口で支払う医療費の負担を1割から2割に引き上げる「健康保険法等の一部を改正する法律案」が採決され、賛成多数で可決、成立しました。自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党が賛成し、社民党、立憲民主党、共産党などは反対しました。
- 本法案は、単身者では年収200万円以上、夫婦世帯では合計年収320万円以上の約370万人について、医療費負担を2倍に引き上げることを主眼にしています。これにより、後期高齢者層は720億円の負担を押し付けられることになります。当初は、現役世代の負担軽減をすると吹聴されていましたが、現役世代の保険料負担は1人月額約30円減少するに過ぎません。その一方で、公費負担は980億円もの減少が見込まれています。「世代間の公平性を図る」「現役世代の負担軽減」を標榜した「全世代型の社会保障」は、まやかしで公費と事業主負担の軽減が目的です。この間、高齢者は年金が目減りし、健康保険料、介護保険料の負担が増加しています。さらに今回の負担増は受診抑制に直結し高齢者のいのちを脅かすものに他なりません。このような改悪に断乎反対します。
- また、国民健康保険の都道府県運営方針に法定外繰り入れの解消、保険料水準の統一を記載させることも大問題です。各自治体は、住民の支払い能力を超えないように、法定外繰り入れや負担軽減策を講じ、国保料の引き上げを抑える努力をしています。国保は、高齢者、無業者、非正規労働者など収入の低い層の割合が高く、財政運営が厳しいという構造的な問題を抱えています。その構造を無視して、国保料の値上げを促進する本法案には納得が行きません。
- さらに本法案は、医療保険におけるオンライン資格確認は任意であるにもかかわらず、生活保護受給者が医療扶助を医療する場合には、マイナンバーカードによる資格確認を原則とするとしています。生活保護者に対する差別であり反対です。
- 本国会では、すでに病床削減や公立病院の統廃合を進める「医療法の一部を改正する法律案」が成立しました。本法案と同様に公費を削減することが目的です。深刻なコロナ危機のなかで、病床、医師や看護師が確保できないなど医療崩壊が迫っています。いまこそ、最前線でいのち、健康を守る医療に公費を使うべきです。社会民主党は、いのち、健康を守るため立場から法律の見直しに全力を尽くします。
以上