2022年10月4日
社会民主党 幹事長 服部良一
昨日10月3日第210回国会が召集された。12月10日までの69日間の臨時国会である。
9月27日の安倍元首相の国葬の強行と自民党と旧統一教会との癒着で大きく支持率を下げた岸田政権。本日で就任1年となるが、中途半端で何をしたいかわからない評価が定着した今、厳しい国会運営となるのは当然だろう。
第一に国葬や旧統一教会と政治との関係について、本命の安倍元総理や細田衆議院議長をはじめどのような解明や説明責任を果たして行くかだ。総理は「厳しい意見を聞く」と言いながら聞き流しているだけでは疑惑は深まるばかりだ。旧統一教会と関係を切ると言いながら発足した改造内閣の新しい閣僚や政務三役とのズブズブの関係が次々と明らかになっただけでなく、その後の自民党の調査発表後にも疑惑の噴出がとどまるところを知らない。所信表明では「悪質商法や悪質な寄付による被害者の救済に万全を尽くす」と言いながら、いままで政治家が広告塔として被害を拡大してきたことの反省と解明がない。国会に早急に調査委員会を設置し、抜本的な解明を進めるべきだ。また、カルト宗教集団や反社会的行為への対策として宗教法人法に基づく税制優遇措置の見直しや解散命令も必要ではないか。国葬についても検証を進めると言うが、まずは法的な根拠がないまま独走した経過について謝罪することから始める必要があろう。
第二には円安・物価高からどう国民・市民の生活を守るのかである。「円安のメリットを最大限引き出して、国民に還元する」と情勢認識にも大きな齟齬があり、輸入価格の急騰で中小企業や消費者が困窮している現実をどこまでわかっているのか。「円安メリット」を言うなら円安で空前の利益を得て内部留保を急拡大(516兆円)している大企業に応分の負担を要求するべきではないか。「構造的な賃上げ」を言うなら、格差貧困の抜本的な解消のために大胆に最低賃金をアップさせ非正規労働者の待遇改善に本気で取り組むべきだ。
第三には、「敵基地攻撃能力の保持」を国家安全保障戦略などの三文書に書き込むというが、専守防衛を逸脱し憲法9条を事実上骨抜きにする危険極まりない行為であり、日本とアジアの軍事緊張を強め日本・沖縄を戦場にしかねない愚かな政策であると断じざるをえない。本日4日早朝、朝鮮は日本上空を飛翔するミサイル発射実験を行った。社民党は北東アジアに非核兵器地帯を創造する立場から一切の核・ミサイル実験に反対する立場ではあるが、今回の背景には米韓日の対朝鮮軍事演習の実施があることは明らかであり、双方が軍事力や軍拡の競争のジレンマに陥ってはならない。
「辺野古への移設工事を進める」と沖縄の県知事選で再三示された民意を踏みにじるのもいい加減して頂きたい。「聞く耳」が全くないではないか。「台湾有事」を日本有事にしてはならず、岸田首相の所信にも文面上は触れてあるが、日中・日韓・日朝間の本気の外交、「核兵器のない世界」に向けて核兵器禁止条約への加盟の本気度こそが問われている。
最後に、岸田首相は原発の再稼働、「次世代革新炉の開発・建設」の「議論の加速を指示」として、原発の積極的な推進に大きく踏み込んだ。「3・11」の教訓を無視し時代に逆行するもので断じて許されない。社民党は原発再稼働や新増設には断固反対する。省エネ・節電と自然エネルギーの普及をぶれずに推進していかなければならない。
安倍元首相の国葬は、文字通り「アベ政治」終焉でなければならず、それが実現しなければいよいよ岸田政治の終わりの始まりだ。そのことが問われる臨時国会となる。