声明・談話

【談話】東日本大震災・福島第一原発事故から12年にあたって

2023年3月11日

社会民主党幹事長 服部良一

 2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から12年目をむかえる。国内観測史上最大のマグニチュード9・0の巨大地震と、北海道・東北・関東の沿岸を襲った大津波によって、12都道府県で2万2318名(震災関連死含む、2023年3月現在)が犠牲となった。社民党として、未曾有の大災害の犠牲者の冥福をあらためてお祈りし、生活・地域の再生に奮闘されているすべての皆様に、心からの敬意を表したい。

 東日本大震災の最大の特徴は、原発事故をともなった「原発震災」となったことだ。地震が街に被害を及ぼすと同時に原発事故を起こし、通常の震災に放射性物質が加わって、救援自体が難しくなる。震災後も大量の放射性物質が長期にわたって復興を妨げる。その困難さは、震災・原発事故から12年を経てなお、2万7399人(23年2月)が避難生活を強いられている福島県の現状を見れば明らかだ。長期避難の影響による「原発事故関連死」と認定された人も2335人(同)に達し、現在も増え続けている。

 確かに巨額予算を投じてインフラや宅地などハードの復興はそれなりにすすんだが、原発震災となった福島県の復興はまだ道半ばだ。当初県全体面積の約12%だった福島県の避難指定区域は、2・3%まで縮小したものの、昨年6〜8月に避難指示が解除された葛尾村、大熊町、双葉町の特定復興再生拠点区域で暮らす人は、いまだ拠点内の住民登録者の1%程度(同)にとどまるなど、原発震災からの復興の困難さが浮き彫りとなっている。

 とくに福島県の22年の沿岸漁業の水揚げ量は震災前の2割程度、21年度末の営農再開面積は震災前の4割強に過ぎず、第一次産業の再生はようやく緒に就いたばかりともいえる。それに水を差すように、東電・政府は今夏にも汚染処理水の海洋放出を始めようとしているのである。さらに、政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)実現」を口実に原発政策を転換した。これまで「想定しない」としてきた新原発の建設を明記し、「原則40年・最長60年」としてきた原発運転期間の延長を可能とするのである。ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー危機などがあったとして、福島第一原発事故を経験した日本が、再び原子力依存の道へ戻ることなど絶対にあってはならない。福島の原発震災は今なお続いているのである。

震災・事故から12年にあたって、社民党として「核と人類は共存できない」との思いをあらたにすると同時に、被災者・被害者一人ひとりの「人間の復興」をめざす決意を重ねて表明するものである。

以上