声明・談話

【談話】離婚後共同親権導入の民法改正案の衆議院本会議通過へ抗議する

2024年4月17日

社会民主党

幹事長 服部 良一

 

  1. 昨日、衆議院本会議にて離婚後の共同親権導入に向けた民法改正案が賛成多数で通過した。社民党は、離婚後の共同親権導入にあたり懸念される人権問題などが置き去りにされた本改正案へ反対であり、重大な懸案事項について十分に審議を尽くさずに、衆議院本会議にて採決されたことに強く抗議する。衆議員本会議では、社民党の新垣邦男衆院議員が採決時に退席し反対の意思表示をした。
  2.  現行の民法では、離婚後は父母のどちらか一方を親権者とする単独親権のみであった。しかし、本改正案は、父母が離婚時に合意すれば双方が親権をもつ共同親権にすることが可能となる。双方が合意に至らない場合や裁判上の離婚の場合には、家庭裁判所が共同親権とするか、父母どちらかを親権者とするかを判断することになる。

    離婚後に共同親権となると、「日常の行為」や「急迫の事情」以外の子に関する事項について双方が協議する必要が生じる。これら「日常の行為」や「急迫の事情」が具体的に定められていないため、双方の「急迫の事情」の解釈をめぐる対立や紛争が頻出する恐れがある。また、双方の協議により合意を得られなかった場合に、裁判所での判断を求めるケースが増加する恐れもある。

  3. 本改正案では、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)対策が不十分である。父母の合意に至らなかった場合は、家庭裁判所で共同親権とするか単独親権とするかを判断することになる。虐待やDVの恐れがある場合は、家裁はどちらかの単独親権とすることと定められている。しかし、家裁が虐待やDVを見逃す恐れもある。保護命令などでDVと認定されていないケースでも、経済的なDVや精神的な支配など深刻なDVはたくさん存在する。

    また、現在は単独親権であり、親権を持っていない側の親が、この法律の施行後、共同親権を求めて家庭裁判所に申し立てる可能性がある。共同親権が認められなくても、DV等で苦しんだ側にすれば、家庭裁判所に申し立てられるだけで苦痛と恐怖である。

    さらに、共同親権となった場合父母の所得が合算される。養育費を十分に受け取れていないひとり親家庭でも、就学支援金が対象外となることや、保育料が高くなる恐れがあるなど社会保障制度にも影響を及ぼす。

  4. そして最大の問題点は、「子どもの意見表明権」が明記されていないことだ。進学や留学など子どもの重要な判断は、子どもの意思が最も尊重されなければならない。意見表明権を明記しないことは子どもの人生を双方の親の協議だけで決めかねない。そもそも、現状の親権が「親が子どもを支配する権利」という認識が強い。親権とは「親の子どもに対する権利」ではなく子が安心して生活できるようにするための親の義務である。親権概念を変えることが必要である。
  5.  以上のように子どもらへ重要な人権侵害が生じる恐れがあるにもかかわらず、これら懸念に対して丁寧な審議がないまま採決を急いだことは遺憾である。立憲民主党は本改正案への問題点に対応するために「父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない」などの修正案を提案したが、4党合意した修正案には盛り込まれなかった。

    社民党は、改正案に対して深刻な懸念を表明している当事者へ寄り添い、参議院法務委員会にて慎重かつ徹底的な審議に努めていき、当事者の懸念を払拭する修正案か廃案に向けて尽力していく。

 

以上