【談話】戦後80年・石破首相の「所感」について
【談話】戦後80年・石破首相の「所感」について
2025年10月20日 社会民主党全国連合幹事長 服部良一
石破茂首相は10月10日、「戦後80年に寄せて」と題する内閣総理大臣所感を発表した。80年談話の発出については自民党内から反対意見が出る中で、強いこだわりを持って出された今回の「所感」であったが、戦後50年の村山談話と比較して期待外れであった。村山談話では日本によるアジア諸国への植民地支配と侵略戦争という「国策の誤り」を認めて、「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明し、謝罪した。石破首相は戦争の歴史を述べているにも関わらず、戦後50年の村山談話に盛り込まれた「植民地支配と侵略への反省とおわび」については一言も触れなかったことは極めて残念である。閣議決定も見送り、首相個人としての「所感」にとどめたことも含め遺憾である。
一方で石破首相は、当時の制度的な問題として、「文民統制」の原則がなかったことを取り上げて、「現在の文民統制の制度を正しく理解し、適切に運用していく不断の努力が必要」と所感で述べている。また、日中戦争を巡って政府の対応を批判し、帝国議会の議事録から大部分が削除された斎藤隆夫・元衆院議員のいわゆる「反軍演説」を引用し、議会が歯止めにならなかったことを反省する部分については評価ができる。
政治が「一時的な世論に迎合し、人気取り政策に動いて」はならないとする点や、「使命感を持ったジャーナリズムを含む健全な言論空間」によって「偏狭なナショナリズム、差別や排外主義を許してはならない」と、現在の政治の危うさに警告を発している点については同感である。
しかしながら、「なぜあの戦争を避けることができなかったのか」に関し、大日本帝国憲法や当時の政府・議会・メディアなど、日本国内の政治システムの問題だけで論じようとしており、日本の植民地支配や大陸への膨張主義といった視点が欠如している。また、日本国内のシステムの問題に絞るにしても、近年の防衛政策では、防衛省内局における運用企画局の廃止と部隊運用事務の統合幕僚監部への一本化、自衛隊への統合作戦司令部の設置など、文民統制の原則を危うくするような制服組優位の組織改編が続いている。特に、統合作戦司令部の設置は石破内閣の下で行われており、文民統制の強化と整合しないのではないか。今年が制定から100年となる治安維持法について特に言及がない点、沖縄については、6月に沖縄全戦没者追悼式に出席したことや、ひめゆり平和祈念資料館を訪問したことには触れているが、沖縄戦への言及は見受けられなかった点、平和外交への言及がなかった点など、全体として石破首相の問題意識の羅列に終わっており、もの足りなさを感じざるを得ない。
社民党は、村山談話の意義を再確認し、国策の誤りを再び繰り返さないためにも、軍拡を許さず、護憲平和・アジア平和外交に邁進していく決意である。