【談話】尾上首相補佐官による核保有発言について
2025年12月26日
社会民主党全国連合幹事長 服部良一
「国家安全保障に関する重要政策及び核軍縮・不拡散問題担当」の首相補佐官である尾上定正氏が12月18日、「日本は核兵器を保有すべきだ」との考えを記者らに述べた。発言は、オフレコを前提とし、個人的な見解と断ってはいるものの、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」を国是とする、これまでの政府の方針に完全に反するものである。
木原官房長官は翌19日の記者会見で、「核兵器のない世界に向けた国際社会の取り組みを主導するのが、唯一の戦争被爆国であるわが国の使命」と述べている。であるならば、尾上氏の発言はなおさら政府の立場を著しく逸脱している。こうした考え方を持つ者が、首相の行う企画・立案を補佐する立場にあるというのは由々しき事態である。
尾上氏は直ちに発言を取り消して辞任すべきであるし、任命権者である高市首相自身が尾上氏を更迭するべきである。そうでないならば、高市首相も尾上氏の考えを事実上、擁護しているものと受け止めざるを得ない。尾上氏は核軍縮・不拡散の担当ともなっているが、核軍縮・不拡散を担当する補佐官としては不適格である。高市首相の任命責任は重大だ。また、尾上氏は航空自衛隊出身で、北部航空方面隊司令官や補給本部長などを務めた元空将でもある。仮に、幹部自衛官の間に核保有論が広がっているのなら大問題である。
そもそも、高市首相自身に非核三原則を堅持しようという積極的な姿勢が見られない。11月11日の衆議院予算委員会で高市首相は、非核三原則を堅持するかどうかについて問われた際に、「私から申し上げる段階ではない」と答弁し、明言を避けている。そして、11月14日には、国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に伴い、非核三原則における「持ち込ませず」の見直しを検討していることなどが、政府・与党の関係者によって明らかになった。
11月26日の国会での党首討論で、高市首相は非核三原則につき「政策上の方針としては堅持している」、「明示的に見直しを指示したという事実はない」と答弁するなど、軌道修正を図った。しかしながら、尾上氏の今回の発言は、たとえオフレコの個人的見解であったにせよ、本当に高市政権が非核三原則を堅持しようとしているのか、疑念を抱かざるを得ないものである。
今回の核保有発言に対しては、被爆者や被爆者団体はもとより、自民党内からも批判が出ている。米国国務省の報道担当者からも、高市政権内の核保有論をけん制するかのような発言があったほか、広島県議会も非核三原則の堅持を政府に求める意見書を全会一致で可決した。非核三原則の堅持を求め、今回の核保有発言を許さない世論は、政治的な立場の違いを超えて拡大・共有されようとしている。
被爆者の思いを踏みにじり、日本国憲法の平和主義の理念とも全く相容れない核兵器保有など言語道断である。日本政府は、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加すらできていない状況である。社民党は核兵器の廃絶を目指し、高市政権に対し非核三原則の堅持を強く求めるとともに、日本の核兵器禁止条約への参加に向け、取り組みをさらに強化していく決意である。