【主張】日米共同統合演習に抗議~沖縄を含む南西諸島の有事想定の訓練を許さない
自衛隊と米軍の日米共同統合演習「キーン・ソード23」が11月10日から19日まで全国で実施されている。社民党は、平和外交の努力に背を向けて台湾有事を想定し、中国をことさら刺激する同演習に厳重抗議する。
キーン・ソードは、隔年で国内各地の自衛隊や在日米軍施設で実施する日米最大規模の実動演習だ。自衛隊約2万6000人、米軍約1万人を動員し、英国やオーストラリア軍、カナダ軍の艦艇なども加わった。台湾有事と対中国戦を想定した、沖縄を含む南西諸島では島しょ防衛などの大規模訓練である。
今回の演習では民間施設や民間地をなし崩しに軍事利用している点を見過ごせない。陸上自衛隊の保有する16式機動戦闘車(MCV)を航空自衛隊の輸送機で運び、与那国空港から陸自与那国駐屯地までは公道を使って移動した。MCVは戦車並みの攻撃力を持つ。与那国が戦場となることを想定しているかのような訓練だ。さらに8日にはチャーターした民間船舶(PFI船)で、民間の中城湾港に車両と隊員らを運んだ。県内に運ばれた車両は、国道58号など一般道路を使用し、陸上自衛隊那覇駐屯地などへ移動した。
浜田防衛相は会見で、「自衛隊が平素から柔軟に利用できるよう、地方自治体などから協力をいただきたい」と述べ、戦争準備協力を事実上強制している。
今回の演習では、初めて米海兵隊員が与那国駐屯地に入り訓練するなど、日米の軍事一体化が加速した。台湾に近い与那国島で日米軍事一体化を見せつければ、習近平政権を刺激し、台湾情勢を一触即発の状態に陥れることになるだろう。
新垣邦男副党首と社民党沖縄県連(代表・照屋大河県議)は7日、沖縄防衛局の小野功雄局長に対して、キーン・ソードの中止を要請した。要請文では「県民の生命・財産、および平和のうちに生存する権利を守る立場から、いたずらに抑止力と称する武力競争の愚を改め、平和外交の発信として『キーン・ソード23』の中止を、沖縄防衛局を介し防衛本省に強く申し入れする」と強調した。福島党首も9日の会見で、「沖縄や南西諸島が戦場となることを前提とした訓練だ」と厳しく批判した。
軍事対軍事では何も解決しない。戦争を避ける平和外交こそ必要だ。沖縄を含む南西諸島での有事を想定した訓練に対して、社民党は強く抗議する。