(社会新報5月17日号2面より)
通常国会は後半国会に突入し、会期の延長がなければ残り約1ヵ月となった。
審議されている法案などの多くは岸田政権が閣議決定した「安保3文書」や原発政策の転換を実効あるものとするものが中心だ。
本来なら、岸田首相自ら「大転換」と認識していることからも慎重で十分な審議が求められるが、政府・与党は、数多くの問題法案を今国会で一気に成立させようとしている。
社民党は東アジアに軍事的な緊張を高め、フクシマ事故を一顧だにしないこれらの法案の成立を阻止するために、岸田政権を徹底的に追及するとともに、「新たな戦前にさせない」戦線づくりを目指していく。
「安保3文書」関連では、①軍拡財政法案:防衛予算を含めてGDP比2%に倍増するため「防衛力強化資金」を新設する②防衛産業強化法案:防衛装備品輸出に取り組む企業を助成する基金の創設などを通じて防衛産業の維持、強化を目指す③防衛装備移転3原則の運用指針の見直し:自民、公明両党による与党協議が始まり、殺傷性武器の提供解禁、日英伊3ヵ国で共同開発する次期戦闘機の第3国への輸出円滑化を狙う ことが挙げられる。
このほか、入管法改悪案が、本紙報道のとおり重大な局面を迎えている。
さらに衆参の憲法審査会で緊急事態条項として国会議員の任期延長を可能とする規定の創設を当面の焦点に、改憲派は改憲策動を強めている。
また原発関連では原発の60年を超える運転を可能にする束ね法案が衆院での1ヵ月足らずの審議で通過した。送電網整備の支援強化を内容とする再生可能エネルギー特措法と抱き合わせにすることで、法案の本質をあいまいにする政権の意図が透けてみえる。
5月8日から新型コロナ対策は感染法上の位置付けが「2類」から「5類」に引き下げられた。2年余りに及ぶコロナ対策の検証は不十分なまま医療費は原則自己負担となる。
これだけではない。マイナンバー法改正案も審議中で、国による情報管理が強化されようとしているが、「LGBTQ法案」は棚上げ状態となっている。
岸田政権は軍備増強、人権抑圧に異常な執念を燃やす一方で、大増税や国民生活破壊を露骨に進めようとしている。社民党は思いを同じくする政党、政治団体や労組、市民団体とともに「新しい戦前にさせない」取り組みを進めていく。
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