社会新報

STOP!インボイス院内集会に350人参加~反対署名36万筆を政府に提出

インボイス制度の中止・延期を求める署名を政府に提出する
「STOP!インボイス」の人たち(9月4日、衆院第1議員会館)。

藤井教授がインボイス制度の問題点を解説した(同)。

右から大椿副党首、福島党首、甲斐田裕子さん、小泉なつみさん。

 

(社会新報9月20日号2面より)

 10月1日の消費税インボイス(適格請求書)制度導入が迫る9月4日、フリーランスや小規模事業者らでつくる「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)が衆院第一議員会館で開かれ、350人が参加し、反対署名36万1171筆分を財務省、国税庁、公正取引委員会に提出した。
 声優の甲斐田裕子さんが「安心・安全・成長・尊厳なき適格請求書保存方式(いわゆるインボイス制度)の中止・延期を求める緊急提言」を読み上げ、各党に提出した。社民党からは福島みずほ党首(参院議員)と大椿ゆうこ副党首(同)がこれを受け取った。
 インボイス反対署名は2021年12月に始まり、今年2月に18万筆分を財務省に提出。今回はその2倍の36万筆を集めた。
 緊急提言の発表に先立ち、「STOP!インボイス」発起人でライターの小泉なつみさんは、「インボイス中止を主張するのは、それがこの国らしさを形づくる文化と産業を破壊し、私たちに分断と増税、混乱を招く希代の悪法だからだ」と訴えた。さらに「右も左も上も下も年齢も年収も業界も、あらゆる属性・イデオロギーを超えて、みんなでつながろうと呼びかけてきた」と力を込めた。
 続いて藤井聡・京都大学大学院教授が「インボイス制度を導入すべきでない理由について」と題して講演した。
 藤井さんは、「益税」「ネコババ」のキーワードをあげて、「インボイス制度は驚くほど勘違いされている」と指摘した。たとえば、1000円の物に店が10%の消費税100円を上乗せして1100円で販売している。売り上げ1000万円以下の免税事業者の場合、その100円分を事業者が手にするため、「益税」「ネコババ」との誹謗(ひぼう)があるが、法的に「預かり金」は存在しておらず、売値に消費税を乗せなくてもよく、「財務省は、売上から原材料を除いた粗利の11分の1(9・1%)を納入しなさいと言っているだけだ」と指摘。この9・1%の税率は応能負担の原則により累進制となっており、現行制度では総売上1000万円以下の人は税率が0%、1000万円を超えると税率が9・1%になると説明した。
 藤井さんは「インボイス制度はこの累進制を廃止するもので純然たる増税、消費増税。この事実が知られていない。インボイスというややこしい言葉に紛れているが、実は消費増税だ」と強調した。その上で、「極めて厳しい経済状況下、インボイスは導入すべきではない」と断言した。