(社会新報12月7日号3面より)
辺野古新基地建設や南西諸島の軍事要塞化に反対する市民たちが11月23日、「沖縄も日本も戦場にさせるな!国会正門前アクション」と題して、国会議事堂正門前で集会を行なった。主催は「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。約2000人が参加した。
日本政府が辺野古新基地問題で、「設計変更申請」を承認するよう沖縄県に「勧告」「指示」したのに対し、玉城デニー知事はこれを拒否した。
これに対して日本政府側は10月5日、「代執行訴訟」を提訴し、年内にも大浦湾側の埋め立て強行を目指している。また政府は、台湾有事を想定した南西諸島へのミサイル部隊の配備や自衛隊の増強を推し進めている。
絶対に諦めない運動
集会では最初に、主催団体から毛利孝雄さんがあいさつ。「代執行の強行で軟弱地盤や遺骨土砂問題が消えてなくなるわけではない。沖縄県の主張の正しさは今後も形を変えて明らかになる。それを顕在化させるのは絶対に諦(あきら)めない現場の運動であり、それを支える沖縄と全国の市民だ」と宣言した。
続いて、急速に軍事要塞化が進められている南西諸島の島々からは、各島から駆けつけたゲストがリレートークを行なった。奄美大島からは「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」代表の城村典文さんが発言。「今月、奄美群島の徳之島では陸海空自衛隊が統合演習を行なった。この小さな島に500両の軍事車両が入り、その上、民間空港である徳之島空港と奄美空港を使って『タッチアンドゴー』訓練をしている」と報告。「奄美は戦争を間近に感じている」「憲法に基づく平和外交を世界に呼びかけよう」と訴えた。
宮古島からは、清水早子さんが「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表として発言。
「宮古島では、もう戦争の足音が聞こえるのではなく、姿が見え始めている」と語り、「気温の高い宮古島でも使えるように戦車を作り変えたり、サンゴ礁の島に爆弾を落としたらどうなるかのデータを取ったり、公的な場所に住民を収容する遺体収容袋を備蓄したりしている」として、急速に進む戦争準備に警鐘を鳴らした。
島の生活・産業を壊す
種子島からは「戦争させない種子島の会」の和田香穂里さんがメッセージを寄せた。和田さんは「種子島では(近くにある馬毛島での)基地建設によるさまざまな混乱が起きている。最大6000人といわれる作業関係者でホテルは満杯、家賃は高騰。農林業から人が流れ、漁業者は漁に出ないで作業員の送迎をしている。観光客は宿が取れず、転入希望者は住まいが見つからず、店からは地場産の魚が消えた。基地完成後には田畑や山林は荒れ放題だろう」と、すでに島の生活・産業破壊が深刻であることを訴えた。
石垣島からは、上原正光さんが「基地いらないチーム石垣」代表として発言。「政府は自衛隊の石垣駐屯地を936億円もかけて整備した。武装すれば必ず敵をつくる。核シェルターなど役に立たない。ミサイルを撃ち合う戦争を石垣だけでは止められない。ヤマトの皆さん、アジアの人々との連帯が必要だ」と呼びかけた。
与那国島からは「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」の高橋千恵さんがメッセージを寄せ、「昨年から今年にかけ、ミサイル基地など、住民にとって寝耳に水の計画が次々に発表された。最近では、有事の全島避難という、島民を追い出すかのような動きも始まっている」と島民軽視に憤った。
集会後、南西諸島からのゲストを中心に主催メンバーらが国会を背景に横断幕を掲げ、集まった報道陣にアピールした。