社会新報

【主張】オスプレイ墜落~国内飛行の永久禁止と全機を撤去を

(社会新報12月14日号3面より)

 

 危惧していたことが起きてしまった。11月29日、在日米軍輸送機CV22オスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落、乗組員8人全員死亡が米空軍によって認定された事故だ。オスプレイの日本国内での死亡事故は初めて。近くの漁場では複数の漁船が操業しており、一歩間違えば人命を脅かすところだった。
 オスプレイは上に向けてヘリコプターのように垂直に離着陸したり、前に傾けて高速で飛んだりできるが、開発段階から安全性が疑われ、事故も多発していた。しかし、米軍は昨年6月の米カリフォルニア州での墜落事故で初めて構造的欠陥を認めたが、それまでは「ヒューマンエラー」(運転操作ミス)としてしか説明してこなかった。今回の墜落原因の究明と国民への説明を求めたい。
 しかし今回も、2016年12月に名護市沖にオスプレイが墜落した時と同様、日米地位協定に基づいて墜落した機体の残骸は米軍が引き取ってしまった。果たして納得のいく説明がなされるか疑わしい。
 さらに米軍は行方不明者の捜索にオスプレイを使用し、事故翌日にも普天間基地周辺で飛行していた。無神経さにあきれると同時に、憤りを禁じえない。
 日本政府の態度も米国の顔色をうかがうばかりで、大きな責任がある。飛行停止を求めたのは墜落の17時間後だった。また、宮澤博行副大臣は当初、米側の説明をうのみにして「不時着水」と語った。事故を少しでも小さく見せようとしたとしか思えない。
 政府・防衛省は南西諸島での防衛力強化の一環としてオスプレイを導入した。佐賀空港に17機を配備する計画で、11月30日には飛行訓練を予定していた。さすがにこれは中止となったが、同日の記者会見で松野博一官房長官は、配備計画は変更しないと述べた。事実を受け止めず、変更を検討しようともしない傲慢(ごうまん)さに怒りを覚える。
 事故の衝撃は大きく、全国の自治体や平和団体などからオスプレイの飛行停止などの米軍や防衛省への申し入れが相次いだ。
 社民党も12月4日、福島みずほ党首や沖縄県連の上里善清副代表らが防衛省に抗議の申し入れを行なった。今月16日と17日には大分県と佐賀県の基地を視察する。国内でのオスプレイの飛行禁止と各基地所属のオスプレイの全機撤去を求めて政府を追及するとともに、大衆運動を強化していく。