社会新報

参院選結果どうみる ~ 識者らが語る㊤ 角谷浩一さん 望月衣塑子さん

(7月31日号より)

 

ラサール石井さんの言葉が党のイメージを固めた ~ 支持者の世代交代が今後の課題

政治ジャーナリスト  角谷浩一さん

角谷 浩一さん

 参院選比例代表で社民党が得票率2%を達成し、公職選挙法上の政党要件を満たしたことは、党にとってだけでなく、国民にとって喜ばしいことだ。

 今参院選は、物価高、消費税などの減税、ガソリンの値下げなど、国民生活やインフラについての苦境の改善が争点になるはずだった。各党の知恵の見せどころだったが、日本人ファーストなどと主張する保守系野党などが乱立。テーマが分散したと同時に、自民党右派のような政策というよりスローガンを掲げて押し通した政党に既存政党は翻弄(ほんろう)されたといってもいい。日本人ファーストは裏を返せば自分たちの生活権が脅かされるという不安感がベース。中身はないがあおるには格好のスローガンだった。

 社民党は、ラサール石井さんが第一声で日本人ファーストを批判して「人間にファーストもセカンドもない」と言ったことが、選挙戦における党のイメージを固めたといえる。また社民党は、保守系政党が主張する政策が結果的に国民の間に強者と弱者をつくりかねない危険性を指摘しつつ、生活に不安を抱えるすべての世代に、「攻撃」ではなく「守る」政治を実践する「駆け込み寺」のような存在感を醸し出した。それが社民党の魅力になるだろう。各政党の政治手法も変わった。支持者の世代交代がうまくいった党が、これからの選挙ではいっそう強くなる。

 

ホープ「大椿ゆうこ」を失った痛み ~ 保守政党の見識が問われる

東京新聞記者 望月衣塑子さん

望月衣塑子さん

 「日本人ファースト」を掲げた参政に話題をさらわれた。デマを含む排外的主張に注目が集まると、自民は対抗して外国人規制をアピール。革新系野党も報道機関も批判に時間を費やした。かえって知名度を高めた面も。まさに「悪名は無名に勝る」だ。

 私は41ヵ所の街頭演説を取材してユーチューブ配信した。参政はうち6ヵ所。集まった聴衆に聞くと「苦しい現状をガラっと変えてほしい」と考える人が多く、これに「外国人が利益を不正に奪っている」という被害感情や、「オールドメディアは真実を伝えない」という他責思考が結びついていた。

 一方、他陣営でも聞かれたのは「ふがいない野党」への失望の声で、立憲・維新・れいわ・共産の伸び悩みとして票に現れた。社民はラサール石井さんの1議席と得票率2%を確保したが、ホープの大椿ゆうこさんを失った。痛い。

 参政の政策や主張は、時代錯誤で人権軽視の憲法草案や、反ワクチン、オーガニック信仰など、「ウケる要素」を詰め合わせたもので、専門家からみれば失笑ものだ。だが、EU(欧州連合)の極右政党やトランプ米大統領が掲げる反グローバル主義を意識的に取り込み、既存政党への批判の受け皿となった。

 自民は今後、政権維持のため野党との連携を模索する。極右ポピュリストと距離をとれるか。保守政党の見識が問われる。