社会新報

【統一教会問題 追及第3弾】社民党解明チームで山口広弁護士が統一教会をめぐる諸問題について厳しく指摘

    旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)本部の看板(渋谷区)

全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料。旧統一教会による被害総額は、1987年から2021年までに1237億円を超えている。市民から収奪した異常な数字だ。

 

(社会新報8月24日号3面より)

 

 社民党は8月4日、「国葬反対! 政治と旧統一教会の関係解明チーム」第1回を衆院第2議員会館内で開催した。
 この中で、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)代表世話人の山口広弁護士によるヒアリングが、オンラインで行なわれた。
 会場には、福島みずほ党首や服部良一幹事長の他、多くの党関係者らが駆けつけた。オンラインでの参加も多数あった。

旧統一教会の闇

 参院選投開票日2日前の7月8日、安倍晋三元首相は選挙応援中に銃撃され、死亡した。殺人容疑で逮捕・送検された山上徹也容疑者(41)の母親が、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会。以下、統一教会)の信者で、多額の献金をしていたことも、明らかになった。
 山口さんは、旧統一教会の信者の家庭について、次のように語った。
 「末端の信者は、とことん献金をさせられる。だから、家庭は本当に貧乏になる。逆らえば、『地獄に落ちる』『亡くなった〇〇は霊界で苦しんでいる』などと言われる。そうしたことを、信じ込まされる。山上容疑者の母親も、誰から何と言われようと、信じ込んでいるのだろう」
 統一教会は、1980年前後から日本で急速に影響力を強め、霊感商法や強引な献金活動など反社会的活動で批判を浴びた。
 そうした状況下で、全国弁連は87年に結成された。
 山口さんは、次のように語った。
 「安倍氏は、2006年5月の内閣官房長官時代、統一教会のダミー団体(天宙平和連合〈UPF〉)が主催するイベントに祝電を送った。全国弁連は、安倍氏に公開質問状を送った。返事がないので、抗議書を送り、『統一教会や関連団体への祝電等は反社会的な活動にお墨付きを与える』などと指摘し、関係を断つよう求めた」

安倍政権との蜜月

 山口さんは、「12年12月に第2次安倍政権が始まって以降、統一教会による(自民党議員・候補者への)選挙応援が一気に強まった」と指摘した。
 特に、安倍氏周辺と統一教会の関係は、密接になっていった。
 こうした流れの中で15年、統一教会の名称変更問題が起きた。
 全国弁連は下村博文文科相(当時)に対し、事前に、統一教会による献金強要・霊感商法などの問題点を指摘した上で、名称変更を認証しないよう求める「申入書」を提出した。だが、名称変更は認められた。
 山口さんは、「下村大臣の指示がなければ、それまで許可しなかった名称変更がすんなりと認証されるはずはなかった。政治責任は、明らかだ」と語った。
 全国弁連は18年6月と19年9月、全国会議員に宛て、「声明」と「要望書」を提出した。①旧統一教会の反社会性の説明②当該教会や関連団体のイベントなどへの出席・祝電・賛同メッセージ等の自粛要請③同賛同行為は旧統一教会への「お墨付き」として利用されかねないとの訴えーーなどの内容だ。

安倍氏へ再三の警告

 それでも、安倍政権が続く中、安倍氏周辺と旧統一教会の関係は続いた。
 昨年9月、天宙平和連合(UPF)が主催するイベントで、安倍前首相(当時)のビデオメッセージが放映された。安倍氏はこの中で、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁らに対し、「敬意を表します」などと述べた。
 全国弁連は同月、安倍氏に対し、当該言動は「今後日本社会に深刻な悪影響をもたらす」などと、公開抗議文を提出した。
 だが、度重なる注意喚起にもかかわらず、「安倍元首相殺害」という悲惨な結果を招くことになった。
 山口さんは、一連の経緯も踏まえ、「旧統一教会をきちんと矯正できなかったことが、安倍元首相の銃殺につながったことに、心のどこかで『申し訳ない』という思いもある」と語った。
 同時に、山上徹也が安倍氏を殺害した動機についての認識も述べた。