社会新報

【主張】衆議院総選挙に勝利しよう 新自由主義に代わるのは社会民主主義

岸田文雄首相は、首相に就任するやいなや10月14日に衆院を解散し、19日公示、31日投開票の日程で総選挙を実施することを表明した。解散から投開票までの期間が17日間という、戦後最短の短期決戦である。10月4日の首相就任から解散までも、わずか10日間という異例の選挙だ。野党は選挙前に内閣の政治姿勢をただす必要があるとして一致して予算委員会の開催を要求したが、政府・与党は応じなかった。
 岸田首相が、性急な解散・総選挙に踏み切ったのは、新型コロナウイルス感染が落ち着いている間の選挙が有利であるという判断に加え、森友・加計学園問題、桜を見る会問題、河井案里問題、東北新社問題など、歴代自民党政権による「権力の私物化」や、甘利明幹事長の現金授受問題などの「政治とカネ」の問題が蒸し返される前に先手を打ったからではないか。
 今回の総選挙の最大のテーマは、コロナ禍にどう対処し、市民の生命と生活を守るのかということだ。繰り返し発生する変異株によって、いつ「第6波」の感染爆発が起きてもおかしくない。「第5波」の感染拡大では、自宅療養を強いられ適切な医療を受けられないまま亡くなる例も続出した。医療関係者やエッセンシャルワーカーの苦闘も続いている。コロナ禍の影響で生活困窮に至った人々の生活再建も急務だ。
 安倍政権・菅政権は、中途半端な「感染予防策」と、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなチグハグな「経済対策」を繰り返し、強い批判を浴びながら五輪・パラリンピックを強行して感染拡大を招いた。この失策によって不人気となった菅義偉内閣の看板を掛け替えたのが、岸田内閣である。
 岸田首相は、保守的な新自由主義政策を転換して「成長と分配」を重視する「新しい資本主義」を目指すというが、自民党の選挙公約を見れば、安倍・菅政権を引き継いだ旧態依然の保守的な姿勢は明確である。新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、一人ひとりの生命に向き合う政治を実現できるとは考えられない。新自由主義に代わるのは社会民主主義である。
 社民党は、新型コロナウイルスから命を守り、暮らしと雇用を立て直し、憲法改悪と戦争への道を許さないために、この選挙戦に全力を挙げて取り組む決意だ。市民と野党の共闘で、なんとしても政権交代を実現しよう。