社会新報

汚染水の海洋放出に抗議~福島党首が小名浜集会で国と東電の暴挙を厳しく批判

いわき市の小名浜イオンモール前には500人が集まり、海洋放出を厳しく抗議した。

連帯のあいさつをする韓国の「共に民主党」「正義党」の代表ら。

 

【福島】国・東電による汚染水の海洋放出に抗議する全国集会が8月27日、いわき市内の小名浜港近くで開催され、市民ら約500人が参加。「海洋放出計画の撤回、中止を求め、漁業者の生業を守る」とした決議文を採択した。

 主催はいわき市内の4つの労組や団体、社民党・立憲民主・共産党など7団体による実行委員会。

 田久祐一郎小名浜地区労議長は主催者あいさつで「363団体・個人から放出反対の賛同を得ている。『政府は約束を守れ、放出反対』の声は韓国、中国などにも広がっている。汚染水放出をやめるまでこの運動を続けたい」と決意を表明した。

 参加団体によるリレートークが行なわれ、漁民の小野春雄さん(71)がマイクを握り、政府の対応を強く批判した。

 小野さんは「漁業者との話し合いが終わっていないのに放出を決めた。政府の対応に漁民は誰一人納得していない。海はわれわれの仕事場だ。海は生き物。国のやっていることは暴走だ。一日も早く放出を止めてほしい」と訴えた。

 集会には社民党の福島みずほ党首、共産党の小池晃書記局長、立憲民主党の石垣のりこ参院議員らも駆けつけた。

 福島党首は、汚染水の海洋放出に強く抗議し、一日も早く止めていこうと呼びかけた上で、「海は世界につながっている命の水。1972年のロンドン条約は、放射性物質の故意による放出を禁止している。今までどこも放出していない」と指摘。さらに「岸田政権は『関係者の理解なしには、いかなる処分も行なわない』とした漁民との約束を守っていない。これ以上、福島の人をいじめないでほしい。海洋放出をやめさせよう」と訴えた。

 海洋放出は国内のみならず海外にも影響を及ぼしている。韓国の野党「共に民主党」と「正義党」の代表や漁民らも駆けつけ、連帯のあいさつを行なった。

 6月23日に社民党と一緒に福島第1原発内を視察した正義党の姜恩美(カン・ウンミ)議員は、「海洋放出は犯罪行為。韓国の人は世界で最も水産物を食べるが、消費が50%減るといわれている。反対の声は広がっている。韓国の国会議員299人中182人が海洋放出に反対。私たちが海に捨てれば、海が私たちを見捨てる。韓国の市民と連帯し、放出を止めよう」と力強く訴えた。

 参加者は「汚染水放出は直ちに中止を」「政府は漁民との約束を守れ」と海に向かってシュプレヒコールを繰り返し、気勢を上げた。

 【ロンドン条約】「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」のこと。1972年のストックホルムの国連人間環境会議での勧告を受けて採択された国際条約で、陸上で発生した廃棄物を船舶、航空機などから故意に海洋投棄したり、廃棄物を海上で焼却処分したりする行為を禁止している。