社会新報

日比「円滑化協定」は中国を刺激 ~ 新垣副党首が衆院安保委で追及

(社会新報4月17日号より)

 

新垣衆院議員は円滑化協定が中国包囲網になると懸念を表明。

答弁する中谷防衛相。

 

 社民党副党首の新垣邦男衆院議員(会派=立憲民主党・無所属)は4日、衆院安全保障委員会で、日本の自衛隊とフィリピン軍が相互に往来しやすくする「円滑化協定(RAA)」について、ただした。RAAは昨年7月、日本・フィリピン両政府が締結した協定で、今後、部隊間の連携や南シナ海周辺での共同訓練が想定される。
 新垣議員は、中谷元防衛相に対して「協定の実態は対中国包囲網づくりではないのか。自衛隊と米軍によるフィリピン軍の近代化支援と思われる」と鋭く追及した。
 これに対して、中谷防衛相はRAAの目的について「一方の国の部隊が他国を訪問して実施する共同運用、演習、災害援助などの協力を円滑にすることである」と説明した上で、「中国を含めて特定の国などを念頭に置いたものではない」と答弁した。
 また、新垣議員は、フィリピンと中国は南シナ海における領海の支配をめぐって長年対立をしていると指摘した上で、「対立関係にある中で、日本がフィリピンとの間で円滑化協定を結んだことは、かなり中国を刺激するのではないか」と危険性を強調した。
 さらに、新垣議員は、死刑存置国の日本と、死刑廃止国のフィリピンでは法制度が違うことを念頭に置きながら、「万が一、共同訓練中にフィリピン軍人が日本で公務外の時間に死刑となる恐れのある犯罪の容疑者となった場合、日本側が裁判権を行使できるのか」とただした。
 これに対して防衛省の参考人は、「日本の裁判所の判決により、死刑が科されることは否定されない」と答弁した。