(社会新報2021年12月1日号2面より)
社民党の福島みずほ党首は11月17日、東京都内で「秋の夜長の講演会2021」を開き、約200人の参加者や応援のトークに駆けつけた各界の仲間たちと共に、来年の参院選の勝利を固く誓い合った。
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伊地智恭子・多摩市議と五十嵐やす子・板橋区議が司会を務めた。冒頭、壇上のスクリーンに福島党首のこれまでの歩みを記録した写真が披露された。高校・大学時代の貴重な写真から始まり、旧社会党の土井たか子元委員長に出会って政治家を決意し、1998年に参院議員に当選して以降の活躍が福島党首の解説付きで映し出された。
あいさつに立った福島党首は、今回の総選挙を振り返り、「1議席の獲得に終わったが、分裂で地方のいくつかの組織がなくなりながらも、前回の選挙より得票数で上回った。『社民党を残す』という決意で多くの党員や支持者が頑張った成果だ」と総括。この成果を足がかりに、反撃していく決意を強調した。
また来年の参院選について、「今回は約100万票を獲得したが、120万、130万に拡大しないと、選挙での2%以上の得票が必要な政党資格要件を失う。どうあっても参院選で2%以上を獲得しよう」と危機感をにじませた。
新自由主義と対決を
続いて、福島党首と評論家の佐高信さん、講談師の神田香織さんを交えた鼎談(ていだん)に。神田さんは、今年9月に東京都内で起きた、コロナ禍の不景気で土曜出勤を強いられたタクシー運転手が勤務中にくも膜下出血を起こして歩道に突っ込んで5人が死傷した事故で、現場に居合わせ、一緒にいた知人が死亡し、自身もけがを負ったことを明かし、「小泉純一郎元首相と竹中平蔵元金融担当相の『改革』が貧困と格差を増大させたことと関連している。また、コロナ禍なのに自宅療養を強いられて亡くなった方も多い。こんな社会では、私たちの命まで取られてしまう」と訴え、「頑張って」と福島党首を激励した。
佐高さんは「岸田首相は、格差拡大など資本主義の弊害を言いながら、『分配』を主張しなくなった。しかも政府の諮問機関にまたも竹中氏を登用したが、これは『分配』など考えていないという意味だ」と指摘。さらに「竹中氏は維新の会を作った橋下徹元大阪府知事と結びついており、竹中氏が会長の派遣会社のパソナは大阪でもうけている」と、派遣制度に象徴される非正規労働を利用し、竹中氏と維新が新たな利権構造をつくっていると批判した。
福島党首は「総選挙では非正規・貧困社会から脱却し、それを変えていこうと訴えてきた。これからも訴え続ける」と、新自由主義と対決する姿勢を示した。
各界から熱いエール
この後、福島党首とこれまで手を携えてきた6人によるリレートークに。
コロナ対策で成果を挙げた東京・世田谷区の保坂展人区長(元社民党衆院議員)は「参院選を前に、新しい政治の中身と野党の形を提示する役割を果たしてほしい」と激励した。
作家で性暴力と闘う市民運動を続けている北原みのりさんは、「かつて『マドンナブーム』を生み出した土井さんが首相になっていたら、これほど弱者に冷たく、強い者が理不尽なことを平気でやる社会になっていただろうか」と問いかけながら、「参院選ではぜひ比例で当選して」と福島党首にエールを送った。
国際環境NGOのFoEジャパン理事の満田夏花さんは、2011年の福島原発事故直後、福島県の父母たちが、児童生徒の年間被ばく許容量が20㍉シーベルトに設定されたことに抗議して文科省を訪れた際、福島党首も応援に駆けつけてくれた思い出などを披露しながら、「福島さんはあらゆる社会問題をカバーしている。ぜひ次の選挙で勝ってほしい」と訴えた。
全国コミュニティユニオン連合会の鈴木剛委員長は、「福島さんを再び国会に送ろう」と決意を表明。
反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんは、非正規労働者や外国人、女性たちの絶望的な状況を報告した上で、政治の場でそうした問題の解決に向けて政策化する社会民主主義への期待を語った。
最後に、この3月に名古屋入管施設で死亡したスリランカ人のウィシュマさんの遺族代理人である指宿昭一弁護士が熱いエールを送った。
↑壇上のスクリーンに福島党首のこれまでの歩みを記録した写真が映し出された(11月17日、永田町)。
↑神田香織さん(左)、福島党首、佐高信さん(右)の鼎談。