統一教会の被害者救済へ全力を~福島党首が参院本会議の代表質問で法相に決意を迫る
(社会新報11月30日号1面より)
社会民主党の福島みずほ党首は11月18日、参院本会議で会派「立憲民主・社民」を代表して質問した。
福島党首は、統一教会問題に対する齋藤健法相の決意を次のようにただした。
「統一教会の広告塔に多くの自民党の国会議員がなり、被害を拡大させてきたという問題と、政策がゆがめられてきたという二つの問題がある。統一教会は霊感商法などによって人々の生活、人生、家族を破壊してきた。憲法に家族条項が必要だと言いながら、逆に家族を破壊してきた。統一教会と組み、人を不幸にしてきた自民党の政治とは一体何なのか」
「2005年ごろ、政治の力によって統一教会への警察の捜査が止まったという証言を何人もの人から聞いている。政治の作為と不作為を問いたい。統一教会の解散請求はなされなければならない」
これに対して法相は、「自民党に関するご指摘は、お答えをする立場にない」と答えず、「被害者の救済に向けた取り組みに万全を尽くしてまいります」とのあいまいな表現に終始した。
LGBTQの人権を
続けて福島党首が、統一教会など宗教右派により、ジェンダー平等や性教育、選択的夫婦別姓、同性婚、LGBTQの人権が後退してきたことを指摘し、「統一教会などの影響をなくし、日本が人権先進国としてこの国会で立法が進むようにすべきだ」と求めたのに対して、法相は「政府の取り組みに旧統一教会などの特定団体の影響があったとは考えていない」と、まともな答弁を避けた。
福島党首が、更迭された葉梨康弘前法相の「死刑のハンコ押した時だけニュース」との暴言に関しどう考えるかとただすと、法相は「前大臣自身が説明を尽くされるべきもの」と逃げの姿勢だった。
死刑廃止に踏み出せ
福島党首は、前法相の暴言に関し、「死刑が人の命を奪うものであることを軽視し、法相の仕事が死刑を執行することであると当然のことと考え、深く考えていなかったことが大問題だ」と厳しく批判した。国連の自由権規約委員会が3日に日本に対し死刑廃止への啓発を求めて勧告したことを指摘した上で、「世界の趨勢(すうせい)は死刑廃止だ。国家による殺人である戦争と死刑は廃止すべき」と訴えた。
これに対して法相は、「死刑廃止は適当ではない」と死刑存置論を繰り返した。
さらに国連勧告が日本の入管制度と難民政策について改善を強く求めている点を指摘し、昨年、名古屋入管施設で死亡したウィシュマさんの事件も踏まえて、「廃案になった法案ではなく、与野党で賛成できる国際水準の難民保護法案と入管法改正案の国会上程を」と迫った。
同じく国連勧告で選択的夫婦別姓や同性婚、LGBTQの人権施策などについて推進すべきと指摘されている点に関して、「幸せな人を増やすだけである。ぜひ取り組むべきだ」と強調。
子どもの無戸籍・無国籍問題の解消を目指し、法律上の父親を決める「嫡出推定」を見直す民法改正案については、「一歩前進ではあるが、無戸籍のゼロを実現するには程遠い内容である。『嫡出』の用語そのものが差別的概念であり見直すべき。父親の推定の根本的な見直しをする必要がある」と語った。さらに認知された子どもが血縁のないことが判明した場合、日本国籍を失うことを明文化した国籍法3条3項の新設に関し、福島党首は「無国籍となった子どもを救済する規定がない。甚大な人権侵害を起こす」と批判した。