(社会新報3月28日号2面より)
参院予算委員会で3月8日、立憲民主・社民共同会派の福島みずほ参院議員(社民党党首)は「政治とカネ」の問題や新法案などについて、政府・自民党を厳しく追及した。
自民裏金と同じ構図
福島議員は、2021年に自民党から同党の甘利明幹事長(当時)に渡された政策活動費(メモ)の3億8000万円の使途について、岸田首相に問いただした。
だが首相は、個人のプライバシーや企業の営業秘密などを理由として挙げ、使途の明示を拒んだ。
これに対し、福島議員は「甘利幹事長は極めて短期間で選挙の時に3億8000万円を使っている。そんな不実な答弁、ダメですよ」と批判した。
また、自民党の茂木敏充幹事長の資金管理団体が使途公開基準の緩い別の政治団体に「寄付」という名目で多額の資金を移動していた問題について、「付け替えれば透明度を低くできるということを、議員自らが熟知している。脱法行為ではないか」と首相に問いただした。
これに対し首相は、「今の法律の範囲内で資金移動が行なわれている」と開き直った。
企業団体献金の病
福島議員は、自民党が得ている企業団体献金について「23年間で556億円、(平均で)1年間に24億円」と資料を提示し、「企業団体献金を禁止しない限り、大企業のための政治は続く」と批判した。その上で、「裏金問題もそう(同じ構図)じゃないですか」と追及した。
首相は「その指摘は当たらない」と応じたが、説得力ある説明はなかった。
次に、盛山正仁文科相が2021年の衆院選の際に旧統一教会側の推薦確認書に署名して選挙応援を受けた問題について、福島議員は「大臣として不適任で、更迭すべき」と訴えた。
これに対し首相は、「盛山大臣は過去の関係にかかわらず、現在は当該団体との関係を一切有していない」として、解任する意思のないことを示した。
福島議員は納得せず、「中立性と公平性の面で問題だ」と厳しく批判した。
民間人も監視対象に
続けて、今国会に提出された「重要経済安保情報の保護・活用法案」(本紙2月15日号2面参照)についても質問した。
同法案は、秘密保護法の対象に経済分野を加え、経済安保上の重要情報を扱う民間人などの身辺を国が調査する「セキュリティークリアランス(適正評価)制度」を導入するもの。
福島議員は、「対象となる重要経済基盤とは何か、定義がさっぱり分からない。対象が際限なく広がっていく」と疑念を示した。
高市早苗・経済安全保障担当相は「国が保有する情報が対象」などと型通りに答弁したが、国が民間企業から吸い上げる情報の扱いに関しては、曖昧にしたままだ。
個人情報への侵害
さらに福島議員は、現在施行されている秘密保護法の下で使われている質問票を基に、「経済状況や飲酒の節度まで調べられる。精神疾患に関しては、かつての治療やカウンセリングの有無に関する質問もある」と指摘した。
これに対し首相は、「限定されたもの」「調査対象者から同意を得た上で必要な調査を行なう」と答弁。
高市大臣はカルテ(診療記録)について、「必要な場合は内閣府から医療機関に個別で照会するが、補完的なもの」と答弁した。
だが福島議員は、「たとえ本人が同意したとしても、家族や親族などは同意なしに調べられる」旨を指摘し、「悪用しないという保証はどこにあるのか」と疑義を呈した。
この他、福島議員は、訪問介護事業者の4割近くが赤字であるにもかかわらず、基本報酬が減額される問題を提示し、「このままでは、特に小規模の訪問介護事業者はつぶれ、介護が成り立たなくなる」と窮状を訴えた。
最後に、沖縄本島の辺野古新基地建設のために「南部戦跡の遺骨が入った土砂」が使用される予定の問題を取り上げ、「使わないでほしい」と訴えた。
メモ【政策活動費】政党への寄付金などを原資に、政党から所属議員らに支給されるカネ。自民党では通常、幹事長経由で議員に渡されるという。本来は、「選挙活動」以外の支出や残金は所得税の対象になり、申告しなければ脱税になるはず。