社会新報

【主張】そごう・西武労組スト~闘う労働組合に連帯し支援の輪を

(社会新報9月13日号)

 「闘う労働組合」が復活したかのようなストライキであった。8月31日、そごう・西武労組がストを決行し、西武池袋本店が全館休業となった。
 大手百貨店では61年ぶりのストだ。ストのきっかけは、百貨店そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)が、そごう・西武を米投資ファンドへ売却することに対して、労組側が雇用の維持が不透明なまま進めることに反対したからだ。ストの最中に、セブン&アイHDが9月1日付で米ファンドへの売却を発表し、9月1日には新たに親会社となった米ファンドが西武池袋本店の土地などをヨドバシHDへ売却した。結果として強行されてしまったが、ストは経営側や社会へ大きな影響を与えた。
 スト当日、西武池袋本店前で横断幕などを掲げているそごう・西武の組合員へ、差し入れや励ましの言葉をかける市民や、見学する市民も多く来て、世間からの共感を得ていた。また、デモ行進では三越伊勢丹グループ労組、高島屋労組などライバル店の労組も参加し連帯した。また、セブン&アイHDが今後の労使協議について「適切な範囲で支援・協力する」とコメントした。9月1日には米ファンドと初めての労使協議を開いた。雇用維持については協議できなかったが、労組側は引き続き雇用の維持を求めていく姿勢を示した。このように、そごう・西武のストは経営側へ圧力をかけることができ、さらには世論にそごう・西武の雇用問題を知らしめることができた。SNSなどでは、ストを好意的に捉える声が多かった。他方で、そごう・西武労組が加盟するUAゼンセンからはストへの声明などを現時点で確認できない。
 また、連合の芳野友子会長は、9月3日の会見でストについて、「多くの国民に労働組合としての権利があるということが周知された」など一般論的なコメントのみだったのが残念だ。労働組合の推定組織率が16・5%と低い状況下で、そごう・西武労組のストは労働組合の存在感・必要性を世間へアピールできる好機である。そごう・西武労組は今後も米ファンドと労使協議を重ねていくであろう。ぜひとも積極的な支援や踏み込んだ声明などを発出していただきたい。
 今回のストを奇貨として、賃上げなどを求める労働運動が当たり前であった日本社会を取り戻していこう。