社会新報

【主張】柏崎刈羽原発~東電と経産省の再稼働“前のめり姿勢”を許さない

(社会新報5月9日号3面より)

 

 新潟県民の不安を無視して、東京電力は柏崎刈羽原発7号機の原子炉に核燃料を入れる燃料装填(そうてん)を4月15日に強行した。しかし、トラブルが発生し、17日に作業を中断した。その後、26日に燃料装填を終えたと公表した。
 柏崎刈羽原発は総出力821・2万㌔㍗の世界最大の沸騰水型原発であり、全部で7基ある。1号機は1985年に営業運転を開始し、その後、90年~96年に2、5、4、3、6号機が順次運転を開始した。7号機は97年開始だった。
 しかし、2007年の中越沖地震で運転中の3、4、7号機をはじめ全号機、そして敷地内も大きな損傷を受けた。それでも営業運転を続けてきたが、02年のトラブル隠しに始まり、不祥事を繰り返した。
 そして11年の福島第1原発過酷事故以降、全原発が停止状態に。その後も、20年に社員によるIDカード不正使用事件、核物質防護設備の機能の一部喪失、7号機安全対策工事の一部未完了と、重大な不祥事を重ねた。さすがに原子力規制委員会もこれを放置できず、21年、核燃料物質の移動を禁じる運転禁止措置を命じざるを得なくなった。
 これほどの不祥事を重ねてきた東電には運転の資格なしとして、心ある県民が現在、新潟地裁に対し、柏崎刈羽原発運転差し止め請求を訴えて闘っている。しかも、この原発は11年以降、13年間も全号機が動いていない。
 にもかかわらず23年12月、規制委員会は運転禁止命令を解除。さらに柏崎市議会と刈羽村議会が、柏崎刈羽原発の早期再稼働を求める地元経済団体からの請願を、3月議会で賛成多数により採択した。これに呼応するように、経産省は3月21日、新潟県知事に早期再稼働を要請した。
 昨年12月から今年の3月にかけての、再稼働を求める一連の怒とうのような動きは、一体どういうことか? しかもこの間に不幸にして能登大震災が起こっている。
 『朝日新聞』が指摘したように、この動きの背景には、東電の収支改善という狙いがあるのだろう。フクシマの除染費用だけでも4兆円かかる。21年には233円だった東電の株価は、現在1000円に上がった。柏崎刈羽原発を何とか再稼働させ、株価を1500円に上げて売却すれば、4兆円を捻出できる。東電と経産省はそれを狙っているに違いない。やはり東電は解体し、経産省に原発政策から手を引かせるしかない。