社会新報

【主張】第211回通常国会が開会~防衛力よりいのちとくらしを最優先で

(社会新報2月1日号3面より)

 

 1月23日、第211回通常国会が召集された。物価高、少子化対策、安全保障、新型コロナウイルス対策など多岐にわたる論点がある。とくに昨年末には安保三文書の閣議決定や、原発政策の大転換など重大な政策転換が相次いだ。いずれも、国会での議論も経ておらず、徹底した審議を求めたい。介護保険法改悪やコロナ5類移行問題、入管難民法など、他にも重要案件も目白押しだ。
 国会開会初日の所信表明で、岸田首相は安保3文書の改定と防衛費大幅増を「日本の安全保障政策の大転換」と認めつつ、「憲法・国際法の範囲内で行なうものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としてのわが国の歩みを、いささかも変えるものではない」と言い放った。詭弁(きべん)を弄(ろう)するにもいい加減にしてほしい。これまで政府は「憲法上の制約から他国に侵略的な脅威を与える武器は保持しない」ことをもって「専守防衛」としてきたはずだ。
 今国会には防衛産業の国有化に道を開く「防衛産業強化法案」、学術研究の軍事化につながりかねない「日本学術会議法改正案」なども上程が予定される。日本の社会や経済・教育などを丸ごと軍事化することにもなりかねない。
 老朽原発の60年越えの運転を可能とする「原子炉等規制法改正」も予定されている。原発の次世代革新炉への建て替えや運転期間の延長など、3・11以降の原発政策が大転換される。
 首相は、少子化が「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」として、「異次元の少子化対策」を打ち出したが、「こども・子育て予算倍増」の方はかけ声だけで、中身は見えない。
 「新しい資本主義」に関しても、「物価上昇を超える賃上げ」「日本型の職務給の確立」「成長分野への労働移動」「資産所得倍増」など、空疎な言葉が踊るだけだ。
 安保政策の転換や原発推進には増税までして膨大な予算を張り付け、多くの法改正を予定しながら、子育て予算や国民生活に直結する政策に関してはスローガンにとどまっている。いのちやくらしを軽視し防衛費ばかりが膨張している。
 物価高騰と生活困窮で苦しむ国民・市民に寄り添う政策と、統一教会と政治の関係解明など、政治への不信の払拭(ふっしょく)が必要だ。時代の変わり目となる重要な国会となる。未来に悔いを残さない国会とできるよう、社民党も全力で取り組む決意だ。

 

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