12月2日の参院予算委員会で謝罪する杉田総務政務官(左)。福島党首の追及により政務官は過去の差別発言を撤回した。
(社会新報12月21日号3面)
なぜ差別発言を繰り返す人物が政務官として居座り続けるのか。
12月2日の参院予算委員会で、杉田水脈総務政務官が、性的少数者や在日コリアン、アイヌ民族をめぐる過去の表現について謝罪し、撤回した。社民党の福島みずほ党首による追及に対して杉田政務官は「厳しい批判を重く受け止めている。過去の配慮を欠いた表現を反省し、傷つかれた方々に謝罪し、取り消す」と明言した。これに先立ち、松本剛明総務相は会見で、「傷つかれた方々におわびし、表現を取り消すように申し渡した」と述べている。
杉田氏は大臣に指示されて、やっと姿勢を変えたにすぎず、本心からの謝罪とは言えまい。これまで野党からの謝罪・撤回の要求に対して「差別する気は一切ない」と開き直り続けてきた。
杉田氏は、日本維新の会などを経て、2017年に自民党の衆院中国ブロック比例で当選。安倍首相の肝いりで優遇され、昨年の衆院選でも同ブロック比例で三選を果たした。
これまでの暴言は数え切れない。14年10月31日の衆院本会議で、「男女平等は絶対に実現し得ない、反道徳の妄想」と述べ、男女共同参画基本法の廃止を主張。
16年に自身が出席した国連女性差別撤廃委員会の参加者について、ブログに「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」などと投稿した。
月刊誌『新潮45』(18年8月号)に「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がない」などと寄稿し、批判の声が殺到した。
同年、TV番組のインタビューで、性暴力被害者の伊藤詩織さんに関し「女として落ち度があった」と言い放ち、20年には自民党の会合で性暴力被害の相談事業をめぐり、「女性はいくらでもウソをつけますから」と述べた。
性的少数者やジェンダー平等論者、性暴力被害者を異質な存在として差別し、排除する。その差別思想が自民党内で一定の共感を得てきたことも事実だ。
杉田氏を政務官に起用した岸田首相の任命責任は重い。「多様性のある包摂社会」という岸田内閣の方針は絵に描いた餅にすぎない。
福島党首は2日の予算委で杉田氏の発言を「ヘイトスピーチ」と厳しく批判し、更迭を要求した。岸田首相は「能力を持った人物」などとかばい、更迭を拒否した。
社民党は杉田政務官の更迭と議員辞職を強く求める。