社会新報

【主張】2024年度予算案衆院通過~野党は岸田首相の詭弁にだまされるな

(社会新報3月14日号3面より)

 

 2日、来年度予算案が衆院本会議を通過した。異例の土曜日採決となり、憲法第60条の規定に基づき、その後の参院での議決がどうであれ、今年度内の自然成立が確定した。岸田首相は、来年度予算の早期成立を目指す理由として、「能登半島地震の復興や国民生活に関する内容」だからとした。しかしながら予算委員会では、「自民党とカネ」の問題や、盛山文科相と旧統一教会の関係についての疑惑などにより、来年度予算案の審議は十分尽くされていない。能登半島地震の復興を理由としているが、そもそも社民党などの野党は震災対応の補正予算案の早期編成を求めていた。実際、東日本大震災など過去の大震災では補正予算でスピード対応している。能登半島地震の復興を理由とするのは、岸田首相の詭弁(きべん)である。
 3月1日の衆院本会議で、立憲民主党の山井和則衆院議員は3時間近くの衆院予算委員長解任決議案の主旨弁明演説を行なった。予算成立を急ぐ自民党などへの必死の抵抗であった。ところが、一部野党からは「昭和の政治だ」などと批判された。さらには予算委員長解任案には日本維新の会が反対し、財務相不信任案には維新のみならず国民民主党も反対した。山井議員の長時間演説が効果的だったかについては賛否があるだろうが、野党が一致して岸田政権に抵抗しきれない状況は由々しきものだ。「令和の政治」を自負している一部野党勢力は、野党内の足を引っ張るだけだ。
 衆院を通過した来年度予算案は過去2番目の規模である112兆円超えだが、岸田政権が目玉としている少子化対策や物価高・賃上げ政策などに果たして有効なのか甚だ疑問である。さらに防衛費は7・9兆円超えで、27年度までに43兆円を目指す軍拡予算を一層加速化させる。
 来年度予算案は参院に送付された。各党は自民党の金権腐敗政治を中心に追及しており、参院でも厳しい予算委員会が始まった。8日には、社民党党首福島みずほ参院議員が予算委員会で質問した。岸田首相の苦境は続くだろう。
 また、来年度予算案の審議が注目されているが、「経済安保版秘密保護法案」や地方自治の根幹を揺るがす指示権創設に向けた「地方自治法改正案」など、問題法案が衆院へ提出されている。社民党は国会内外で自民党の金権腐敗政治や問題法案の追及に力を尽くしていく所存だ。