【主張】ウーバーイーツユニオン ~ 配達員は個人事業主ではなく労働者だ
(社会新報12月7日号3面)
大きな前進だ。11月25日、東京都労働委員会は、ウーバーイーツユニオンがウーバー・ジャパン株式会社らを被申立人とした不当労働行為救済申立事件について、「配達パートナーは労働組合法上の労働者に当たる」と配達員の労働者性を初めて認めた。
コロナ禍の中、外食の機会も減り、急激に利用者が拡大したウーバーイーツ。インターネット上のプラットフォームから単発の仕事を受けて働くことから、プラットフォームワーカー、またはギグ(単発)ワーカーと呼ばれている。背中に四角い大きなリュックを背負った配達員が自転車で街の中を駆け抜ける姿は、今や日常の風景になった。配達員の身分は個人事業主とされ労働法が適用されず、配達中、事故にあっても労災がないなどの問題を抱えていた。
今回、都労委は配達員の労働者性を認め、その上で、団体交渉に応ずるべき使用者の地位にありながら、それに応じていない会社の行為は団交拒否に該当するとして、会社に団交に応じるよう命令を交付した。波及効果は大きい。
同日、インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京・目黒区)の商品を請け負う配達員らが、社前で待遇改善と団交の実施を求めて抗議行動を展開。この日はブラックフライデー(米国で始まった大規模なセールイベント)の初日で、同抗議行動は世界30ヵ国で実施。荷物の数や配達時間の適正化などを求めて東京ユニオン・アマゾン配達員組合横須賀支部の組合員ら20人が要求書を提出したが、会社は受け取らなかった。組合はこれまでも団交を求めてきたが、「個人請負契約で働いており労働者ではない」として応じない。ドライバーは個人事業主であるというのがアマゾン側の主張だが、実際には指揮命令を受けている雇用労働者であるというのが組合の主張だ。アマゾン配達員もウーバー配達員と同じ業態であり、ウーバー配達員の労働者性が認められた今、アマゾン側の主張は果たして通用するだろうか。
英国のケン・ローチ監督は、映画『家族を想うとき』で、個人事業主の宅配ドライバーの父親とその家族を描いた。ラストシーンでは、けがを負った父が家族の必死の制止を振り切って車を走らせ職場に向かう。その極限まで追い詰められた姿が、私たちに問いかける。誰かの人間らしい働き方と暮しを搾取した上に成立する便利さとは何かと。