声明・談話

【談話】東京オリンピックの開催にあたって

2021年7月23日

社会民主党幹事長 服部良一

  1. 本日、開催が1年延期となった東京2020オリンピック競技大会(以下、東京オリンピック)が開会式を迎える。新型コロナ感染が急拡大し、主たる開催地である東京都には4度目となる緊急事態宣言が発出される最中での開催強行である。報道機関各社による世論調査においても開催に反対や慎重意見が多く、オリンピックは世界の「平和の祭典」から、不信と分断の大会となった。社会民主党は日本に暮らす総ての人々やアスリート、大会関係者を新型コロナウイルスの感染リスクから守ること、医療崩壊を何としても防止し命を守ること、コロナ禍で経済的困窮状態にある事業者・労働者の生活再建が最優先であることを理由に東京オリンピックの中止を求めてきた。東京発コロナパンデミックを防ぐためにも、東京オリンピックの中止をあらためて求めるものである。
  2. 緊急事態宣言の中、生活に困窮する人々に対する現金給付に加え、繰り返される時短・自粛要請に疲弊する事業者に対するこれまで以上の補償を行うことが喫緊の課題である。西村康稔経済再生担当大臣による飲食店攻撃をはじめ菅政権による後手後手で支離滅裂な「コロナ対策」からの転換が必要である。社会的検査・ワクチンの普及・休業要請と補償のセットを3本柱とする実効性のあるものに転換し、消費税3年間ゼロなど大胆な経済対策によって生活再建の道筋をつけることが今果たすべき政治の役割だ。
  3. 東京オリンピックを巡り開会式の演出担当者や作曲担当者、公式文化プログラム参加予定者の辞退、解任が相次いでいる。いずれもユダヤ人差別、障がい者差別に該当する過去の言動があり、処分は当然である。任命した組織委員会の責任は重大であるだけでなく、日本の人権意識の低さを世界に露呈させる事態となった。これまでにも、森喜朗前組織委員長の相次ぐ女性差別発言、前総合統括責任者による「オリンピッグ」なる容姿差別の演出プラン問題など、いくつもの差別問題が噴出していた。オリンピック招致に向けた20139月のIOC総会で安倍前総理は福島第一原発の状況について「アンダーコントロール」と虚偽発言をしている。避難生活を続ける原発避難者を侮辱する発言でもあった。反差別を是とするオリンピック憲章に照らしてこれらの問題に真摯に向き合い、社会に蔓延する差別の根絶と多様性社会の実現に向けて日本が動き出すならば、それこそがこの東京オリンピックの唯一最大のレガシーとなるだろう。またオリンピックそのものの在り方を根本的に見直す契機にしていかなければならない。社会民主党はそのために国会での審議や広範な人々と連携した差別に抗する社会運動に全力を尽くす決意である。