社会新報

布施さんが指摘~際限のない軍拡ストップ~日本は米中に働きかけを

講演する布施祐仁さん(11月18日、衆院第一議員会館)。

 

(社会新報12月7日号2面)

 

 政府が敵基地攻撃能力の保有など、安保3文書改定を目指す中、11月18日、STOP大軍拡アクション主催で「『国家安全保障戦略』等の改定に反対する院内集会」が衆院第一議員会館で開催され、ジャーナリストの布施祐仁さんが講演した。
 布施さんは、「政府は2021年から12式地対艦ミサイルの能力向上型の開発を開始し、射程を現在の200㌔から1000~1500㌔に伸ばそうとしている。これは中国本土にも届くものだ」と、その危うさを指摘。自民党は敵基地攻撃能力を「専守防衛の範囲内」と主張するが、布施さんは「台湾有事の際、米国が中国本土を攻撃した場合、日本も敵基地攻撃能力を使う可能性がある」「日米の軍事一体化、指揮統制の一体化で、日本の敵基地攻撃能力も、米軍指揮下で使われる恐れがある」と危険性を訴えた。
 日本側が中国本土を攻撃すれば、中国からの報復攻撃が日本に対して行なわれる可能性が高い。布施さんは「米国は日本列島を丸ごと『ミサイル発射台』として使って中国との戦争に勝とうとしている」「米国の軍事戦略では、日本の国土が戦場になるのは大前提」と指摘。武力による中国への対抗に日本も巻き込もうとする米国の危うさに警鐘を鳴らした。
 有事の際の「国民保護計画」についても、沖縄県の石垣市と宮古島市が試算した内容を紹介、「宮古島から市民避難に必要な航空機381機、石垣島からの市民避難は10日かかる」として、「住民避難は本当に可能なのか」と疑問を呈した。布施さんは「抑止力一辺倒は危険だ。一番重要なのはASEANや韓国と協力して米中の対話と協力を促進し、緊張緩和と信頼醸成を図る仲介外交だ」と戦争を予防する外交の重要性を訴える。また米国ですら、その安全保障戦略の中で「意図しない軍事エスカレーションを防ぐ」「責任を持って(軍拡)競争を管理する」としていることを紹介。「日本は、軍備管理を米中が行なうよう、働きかけることこそやるべきだ」と際限のない軍拡を止める必要性を説いた。