社会新報

社会党結党80周年の夕べ 盛り上がる ~ 護憲・人権・公正の旗 前進を誓う

主催者を代表して福島党首(中央)があいさつ。右がラサール副党首。左が大椿副党首。

参加者全員で村山元首相の死を悼み黙祷。

 

 社会民主党の前身の日本社会党が日本敗戦直後の1945年11月2日に結党されて80年になるのを記念して、「日本社会党結党80周年 交流の夕べ」が10月23日に東京・永田町の憲政記念館で行なわれた。社民党が主催した。社民党関係者のほか、立憲野党の議員や幹部、各国の駐日大使館の方々など、約150人が参加した。

 社会党は左右の分裂や統一・再分裂などを経て、96年に社会民主党に党名を変更し、現在に至る。党はこれまで、「平和主義」「社会的公正と福祉国家の実現」「人権と多様性の尊重」「労働者・生活者の立場の尊重」を柱に、労働運動・平和運動・反原発運動・地域運動・市民運動などを多くの人と共に闘ってきた。

団結して党の躍進を

 主催者あいさつで、社民党党首の福島みずほ参院議員は、新党の結成や他党との合流問題などで「社民党が大きく揺れた時期もあった」としながらも、「どっこい、社民党は残って活動し続けている」と粘り腰の姿勢を強調した。

 その上で、高市早苗内閣の発足を受けて、「大企業の利潤を追求して生活を破壊する新自由主義、戦争への道、憲法改悪、差別排外主義、歴史修正主義が強まることを懸念している」として、「立憲野党と連携し、幅広い市民の皆さんと共に政治を変えていく」と抱負を語った。

 また、今年の10月17日に101歳で亡くなった村山富市元首相(元社会党委員長、社民党初代党首)に哀悼の意を表し、かつての植民地支配と侵略戦争の事実を認めて謝罪の意を表した「村山首相談話」(1995年)の意義を述べた。その上で、「村山談話の精神を引き継いでいくことが、私たちの歴史的使命だ」と語った。

 この後、参加者一同は、村山元首相の逝去をしのんで黙とうした。

立憲野党との共闘

 立憲民主党代表代行の近藤昭一衆院議員は、高市政権の発足を受けて、「ナショナリズムというか、対立をあおるポピュリズムのようなことが進められていくことを非常に危惧している」と語った。

 その上で、立憲民主党が社民党と衆参で合同会派を組んでいることを挙げ、「これからも一緒に頑張っていくことが非常に大切だ」と連携の重要性を強調した。

 日本共産党委員長の田村智子衆院議員は、高市政権発足前の10月17日に自身を含む党幹部が社民党の福島党首ら幹部と会談したことを取り上げ、「憲法9条を改悪し、大軍拡路線を突き進み、社会保障を切り捨て、ジェンダー平等に逆行する危険な流れに対し、新しい国民的・民主的な共同(協同)を広げていこうと、たいへん前向きな話し合いができた」と語った。

 その上で、「この共同が国会の中から外へと広がっていくことが、自民党政治を終わらせて新しい政治へと扉を開く上で最も確かな力になる。共に頑張っていきたい」と語った。

非戦こそ少子化対策

 新社会党委員長の岡﨑宏美元衆院議員は、新社会党が2022年の参院選から「社民党の比例名簿に載る」形で選挙を共にしてきたことを取り上げ、「なぜ一緒に闘う決意をしたかと言えば、右へ右へと『戦争をしたい』人たちが遠慮なく出てきたからだ。今の政治に対して許さない、そのためにはこの塊(かたまり)をつくるしかない」と語った。その上で、「共産党の田村委員長の話を聞いていて、本当にそうだと思った」として、「私たちはいま手をつないで、何としても戦争をさせない、憲法を活(い)かし切っていくことを、国会の内外で共同の運動によってつくり出していかなければならない」と力説した。

 「共同テーブル」発起人代表で評論家の佐高信さんは、自らが社会党と同じ1945年に生まれたとして、「この年に生まれた子は極端に少ない。戦争に行かなかった父の下に生まれたからだ」と語った。

 佐高さんは自身も含めて「昭和20年生まれは『非国民の子』だ」とあえて語り、「少子化対策の第一番は、戦争をしないことだ」と力説した。

差別・排外主義と戦争への道加速する高市政権と対決する
社民党への強い思い

 乾杯のあいさつを山内惠子元衆院議員が行なった。水岡俊一参院議員(立民)らも参加。乾杯と懇談の後、社会党・社民党にゆかりのある人たちがスピーチを行なった。

 政治評論家の角谷浩一さんは、各党の幹部らが高市政権に対峙(たいじ)するための「連携」や「共同」を訴えたことに対し、「甘っちょろい」として、「『キナ臭い』なんていうレベルはとっくに超えている。あらゆる力を結集して総力戦で闘わないとダメだ」と檄を飛ばした。

 元衆院議員の常松裕志さんは、「高市内閣は『日本を強くする』と言うが、日本を強くするには、労働運動の再建とそれを進める社民党の発展以外にはない」と力強く語った。

 村山富市首相当時に秘書官だった河野道夫さんは、社民党に対し、「かつての社会党・総評ブロックに当たるものがないなら、社民党の皆さんが自らつくり出してほしい」と訴えた。

 フォーラム平和・人権・環境の田中直樹副事務局長は、社会党と総評が主導した護憲・原水禁運動を継承・発展させると語った。

 土井たか子委員長の秘書だった五島昌子さんは、土井さんの生前の思い出を語った上で、京都女子大学に「土井たか子資料室」が設置されることを報告した。

 新入党員を代表して、青森県のスーパーで働く蛯名日奈さん(24)も発言。「学生時代に学んだ日本国憲法の精神に深く感動した」として、「気候変動や格差問題などについて議論を深め、解決策を共に模索していきたい」と抱負を語った。

 閉会あいさつで、服部良一幹事長は「今、戦後政治のターニングポイントに来ている。社民党はあらためて気合を入れ、今日を高市政権と対決する闘いの大きな区切りとして、皆さんと共に頑張っていきたい」と締めくくった。