(社会新報7月12日号3面より)
2023年6月22日、韓国の国政政党である正義党の一行が日本を訪れた。目的は、東京電力福島第一原発の視察であった。福島第一原発のALPS処理汚染水の海洋放出に強い危機意識をもっての視察だ。もともと社民党とその内部自主組織である「脱原発・脱プルトニウム全国連絡協議会」が、春ごろから計画していた視察であったが、5月中旬に服部幹事長が訪韓したことをきっかけに今回の正義党による福島第一原発の視察が実現した。
視察団の一行は、正義党の国会議員である裵晋教(ぺ・ジンギョ)院内代表、李恩周(イ・ウンジュ)院内主席副代表、同党「福島汚染水阻止TF(タスク・フォース)」団長を務める姜恩美(カン・ウンミ)議員の3人と、汚染水海洋放出に反対する市民運動団体など7人で構成されていた。
迎えた社民党全国連合は、福島党首、大椿副党首、服部幹事長、渡辺組織団体局長ら6人であった。
昼食後、原発ゼロ議員連盟との懇談会を持ち、日韓両国で汚染水海洋放出に反対する行動を広げていくことを確認した。その後、正義党の海洋放出反対の要請文を携えて社民党が同行して東電本社を訪ねたが、社員ではなく、守衛が受け取るという不当かつ非礼な応対だった。そのため要請文を渡さずに、東電正門前で正義党、社民党の国会議員が抗議の演説を行なった。抗議行動終了後、正義党の一行は議員会館に戻り、原水禁や平和フォーラムの役員と意見交換を行ない、汚染水の海洋放出反対をはじめ今後の運動における共同の取り組みについて意思統一を行なった。
真剣かつ和やかな懇談の後、正義党訪日団の一行は、福島視察に向かうため、あわただしく東京駅に向かった。翌日は、正義党国会議員のうち代表一人が福島第一原発の視察行動に参加した。視察後も福島県内で汚染水海洋放出に反対する市民団体と活発に交流した。
現在、韓国では、国内世論の8割近くが福島第一原発からの放射性汚染水の海洋放出に反対であり、市民の間でさまざまな反対行動が展開されている。日本においては反対が4割弱でしかなく、3・11を国民はもう忘れたのかと暗鬱な気持ちにならざるを得ない。正義党は社会民主主義の理念実現を掲げる政党であり、私たちと共通の課題も多い。社民党は今後とも正義党との連携を強めていく必要がある。